【校内研修】「「探究活動」のマインドセットーなぜ探究は悩ましいのか?ー 」@上田市立第二中学校
2025年11月12日、上田市立第二中学校からお声掛けいただき、校内研修の場で、「「探究活動」のマインドセットーなぜ探究は悩ましいのか?─」と題した研修をワークショップ風に実施しました。
当日は、探究学習が教育現場で抱える困難さや課題を、生徒と教員双方の意識調査の結果を参照しながら考察し、探究の定義やプロセス、そして「学び」のパラダイムシフトとして従来の授業からのどのような変化がもたらされる可能性があるかを解説すると同時に、探究学習をキャリア発達支援の一環として位置づけていくことを提案させていただきました。教員の役割が「教える」から「ファシリテート」へと変化することの難しさを一旦引き受けた上で、どのように「生涯探究者」の基盤としての経験を散りばめていけるかの視点を定期させていただきました。
----------------------------
1. 探究が「悩ましい」理由
探究学習には、生徒・教員ともに多くの不安がある。
●生徒の不安
・高校生の8割弱が探究に不安を抱く。
・特に 「課題設定」 が最も不安。
・学年により不安のポイントが変化する
* 1年:課題設定に不安
* 2年:情報収集・表現に不安
* 3年:不安は相対的に低下
●教員の不安
・教員の8割強が指導に不安。
・特に 課題設定の指導 が困難。
・負担増・教員間の温度差に悩む。
・探究の全プロセスで不安が連動しやすい。
2. 「探究的な学び」で得られるもの
探究は、①他者との協働 → ②等身大の自分との出会い → ③未来の社会・キャリアを展望
という経験を生む。
探究は究極のキャリア教育でもあり、学びの「身体性」「当事者性」「協働性」「他者性」 を伴うことで、人が生涯にわたって学び続ける基盤となる。
3. 「探究」とは何か(定義)
「問いと向き合い、問い続け、問いをつなぐ習慣」
既成概念を疑い、問いを深化させる姿勢
4. 探究の5つのプロセスと支援
①課題の設定(問う)
・「当事者性」が肝。
・単なる“テーマ”を“探究課題”にするには、自分と社会の関係性を明らかにすることが必須。
・視点を変えるリフレーミングが重要。
②情報の収集(集める)
・信頼性・客観性など、情報の性質を扱う力が必要。
・本・統計・インタビュー・フィールドワークなど多様な手法を使う。
・調べ学習と探究学習の違いを理解させることが鍵。
③整理・分析(考える)
・思考スキル(比較・分類・因果・構造化)が核心。
・定量分析・定性分析など、方法を選び再構築するプロセス。
④まとめ・表現(伝える)
・伝わる”プレゼン(ロゴス・パトス・エートス)が重要。
・他者視点(聞き手視点)を育てる。
⑤リフレクション(振り返る)
・結果だけでなく、過程や自分自身の変容を含めて振り返る。
・「経験が意味を持つ」のはリフレクションを通してである。
5. 教員の役割の転換
・教える人 → ファシリテーター(伴走者)へ。
・正解を教えるのではなく、問いの生成・方法の助言・外部連携の調整をする。
・生徒と共に学び、学びのデザイナーとなる。
6. 「主体性」の本質
・主体性=一人でできることではない。
・できること/できないことを見極め、他者の力を借りながら、自分で学びをコントロールする力。
・「思考停止をしない」「当たり前を疑う」「学び続ける」姿勢が重要。
7. キャリア教育としての探究
・探究は、生徒が自分のキャリア・アンカー(価値観の軸)を見つける営み。
・「働くこと」への向き合い方を定める
・キャリア・アダプタビリティ(変化への適応力)を育てる。
8. 探究を成功させる条件
●到達点の明確化
・「探究で何が身につくか」を学校全体で共有する。
●通過点の具体化
・各段階で使う思考スキルを明示する。
●組織としての合意
・教員間の意識差を埋めるために、育成すべき資質・能力から逆算して探究を設計する。
9. 最後に — 「自分のプロジェクト」を生きる
・人は「自分のプロジェクト」を持った瞬間、初めて“存在”し始める。
・探究は、生徒が「自分は何者か」を見いだす経験である。
----------------------------
貴重な機会をありがとうございました。