信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【書籍】探究学習研究会編『「探究学習」とはいうけれど ー学びの「今」に向き合う』晃洋書房,2024年

【書籍】探究学習研究会編『「探究学習」とはいうけれど ー学びの「今」に向き合う』晃洋書房,2024年

 

このたび、探究学習研究会(清水優菜先生、村松灯先生、田中智輝先生、大林正史先生、松村智史先生、古田雄一先生、武井哲郎先生、柏木智子先生、荒井)で、『「探究学習」とはいうけれど ー学びの「今」に向き合う』という書籍を刊行する運びとなりました。

皆さんは、探究学習に対して、必然とも言える、以下のような「もやもや」に直面したことはないでしょうか。

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①何の役に立つか、わからない(有用性)
②進路選択に役立つのか、わからない(進路への有用性)
③「調べ学習」との違いがわからない(調べ学習との違い)
④探究のプロセスに対してどのように指導したらいいか、わからない(探究の過程への指導)
⑤どのように教育課程の編成を行っていけばいいか、わからない(教育課程の編成)
⑥どのように評価をしたらいいか、わからない(評価方法)
⑦負担が増える(負担の増加)
⑧教員間での意識の差が大きい(教員間の意識差)
⑨「探究学習」と「教科学習」との関係をどのように捉えたらいいのか、わからない(教科学習との関係)
⑩外部の機関とどのように連携をしていけばいいか、わからない(外部機関との連携)
⑪多様な子どもに対して、どのように学習の動機づけを与えたらいいのかわからない(子どもへの動機づけ)
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これに対して、本書は、「探究学習に関する先生方の悩みや不安に対し、答えを示すことは難しいけれども、理論・データ・事例から「探究学習」の本質に迫ります。」(出版社の紹介)とあり、以下の目次の通り、探究学習における「もやもや」を受け入れた上で、様々な視点から「?」に対する向き合い方について論じています。

私が執筆しました「探究学習をめぐる政策動向と探究の過程」はともかく、他の章は本当に読ませる、考えさせられる章が多く、皆様の「もやもや」に対する捉えをお示しできているのではないかと思います。

ご関心のある方は、ぜひお読みいただけたら幸いです。

https://www.koyoshobo.co.jp/book/b639754.html

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CT3C81N1/ref=sr_1_1?crid=2XEEYNEEII31I&keywords=探究学習+とはいうけれど&qid=1706001643&sprefix=探究学習とはい%2Caps%2C164&sr=8-1

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本書の目的と特徴

第Ⅰ部 探究学習の「もやもや」を探る

第1章 探究学習を支える新しい学力観とそのジレンマ
第1節 日本における学校教育改革
第2節 国際的な教育改革の動向
第3節 新しい学力観が提起する問題

第2章 探究学習をめぐる政策動向と探究の過程
第1節 VUCA 時代の到来と再帰的近代
第2節 探究学習をめぐる政策動向
第3節 探究の過程と指導・支援
第4節 「キャリア発達支援」としての探究学習

第3章 探究学習は資質・能力の向上に寄与するのか

第4章 探究学習に対する不安・困難さの実態―生徒・教員対象の意識調査から―
第1節 探究学習の実態を明らかにするために
第2節 生徒・教員対象のWeb 調査とその内容
第3節 生徒が感じる不安の実態
第4節 教員が感じる不安・困難さの実態
第5節 どのように不安と向き合うのか

第Ⅱ部 探究学習の「?」から考える

第1章 「課題の設定」はどのようにすればよいのか?
     ―「問い」が生まれる条件を探る―
第1節 「課題の設定」をめぐる困難
第2節 問う者と問われる者の関係性を組み換える
第3節 探究学習において「問い」とは何か
第4節 「問い」が立てられるとき、私たちには何ができるのか

第2章 「調べ学習」を超えてどのように探究学習をデザインするか?
     ―現実の社会への参画を組み込んだ探究学習―
第1節 「調べ学習」型で行う探究学習の課題
第2節 現実の社会参画を組み込んだ探究学習のデザイン
第3節 どのような探究学習をめざすべきか

第3章 探究学習のプロセスをどう指導すればよいのか?
第1節 高校教員における探究学習のプロセスに関する悩み
第2節 A中学校の特別活動の時間における探究学習に関する実践事例
第3節 探究学習のプロセスの指導に関する考察

第4章 探究学習をどう評価すべきか?
第1節 探究学習の評価
第2節 探究学習の評価と妥当性

第5章 生徒に「伴走」するってどういうこと?
     ―地域ともつながる探究学習に向けて―
第1節 「伴走」の難しさ
第2節 「伴走」による学習の深まり
第3節 残された課題

第6章 教員間の意識のズレ(温度差)をどう解消したらよいのか?
     ―探究学習を支える教員組織―
第1節 教員間のもやもや
第2節 教員間のもやもやについてのインタビュー概要
第3節 教員間のもやもやの実態と、背後にあるロジック
第4節 教員間のもやもやを越えるために

第7章 生徒のやる気を高めるためには?
     ―探究学習による格差の拡大は防げるのか―
第1節 生徒のやる気を高めるといわれても
第2節 生徒のやる気を高める実践事例
第3節 生徒のやる気を高めるためのポイント

おわりに
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