信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

【講演】「 長野県における信州型フリースクール認証制度ー現状と課題ー」@日本フリースクール大会

【講演】「 長野県における信州型フリースクール認証制度ー現状と課題ー」@日本フリースクール大会

 

2024年3月3日、 国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されましたJDE C2023 日本フリースクール大会におきまして、「 長野県における信州型フリースクール認証制度ー現状と課題ー」 と題した講演をさせていただきました。


千葉県や尼崎市の事例を拝聴することができ、 有意義な時間となりました。


貴重な機会をありがとうございました。

 

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【プレスリリース】「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について

【プレスリリース】「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について

 

今年度も、昨年度に引き続き、松本キャンパスで大学生活を送っている信州大学生を対象としたアンケート調査として「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」を行いました(私が顧問を務めている学生団体CHANGEとの共同調査となります)。

 

取り急ぎ、アンケート結果を取りまとめましたので、ご報告いたします。

 


当該アンケートでは、次のような結果が得られました。

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信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について

 

【生活面】
・勉強の項目では、学生の多くは普段はあまり勉強しないが、試験期間になると途端に勉強することが分かる。
・普段勉強する時間帯は「21時から24時」が多い。
・普段勉強する場所は「自宅」が多い。
・勉強場所を選ぶ基準として、「静か」「長時間利用できる」「お金がかからない」という理由が多い。
・買い物に行くための移動手段は、主に「自転車」が多い。
・昼食は「学食」、夕食は「自宅」で食べる割合が高い。

 

【交通面】
・回答者の約8割が自分用の自転車を所有している。
・駅前に行く交通手段は「自転車」と答えた回答者が多く、続いて「バス」を利用する回答者が多い。
・大学周辺の道路については「道が狭い」、「舗装状態が悪い」、「混雑している」との回答が多い。

 

【余暇】
・「余暇」の過ごし方として、「睡眠」「ゲーム」「ネットサーフィン」等など、自宅で一人で過ごす回答が多い。
松本市文化施設の中で、回答者の多くが「松本城」に行ったことがある。
・大学周辺に欲しい施設の項目では、 「カフェ」を希望する回答者が多い。

 

【魅力】
・ほとんどの項目(「環境」、「教育・子育て」、「文化」、「芸術」、「産業」、「観光」、「食」、「交通」、「医療・福祉」)で「満足」、「やや満足」と答えた回答者が多い。
・「交通」の項目では、約8割の回答者が「不満」、「やや不満」と回答している。

 

【政治・行政】
・回答者の約85%が、松本市の政策について「知っていることはない」と回答している。
・今後重視してほしい政策は、「交通」が最も多く、次に「教育・子育て」に関する政策である。
・回答者の2割が、松本市に住民票を移動している。
・若者の政治への関心を高めるための取り組みとしては、「若者向けの政策の充実」、 「投票方法・場所の改善」、 「既存の投票制度の改善」という回答が多い。

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当該アンケートは2017年から継続実施しておりますが、引き続き、若者の定点観測を続けて参りたいと思う所存です。引き続きよろしくお願いいたします。

 

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https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/wp-content/uploads/2024/02/240224信州大学松本キャンパス大学生活アンケート.pdf

 

過去のアンケート結果は以下もご参照ください。
https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/social/アンケート/
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【講演】「「活き活き×やりがい職場調査」ポスト調査フィードバック」@愛知県江南市立布袋北小学校

【講演】「「活き活き×やりがい職場調査」ポスト調査フィードバック」@愛知県江南市立布袋北小学校


2024年2月22日、愛知県江南市立布袋北小学校の教職員の皆様に、「活き活き×やりがい職場調査」のポスト調査のフィードバックをオンラインでさせていただきました。


昨年7月にプレ調査をしており、プレとポストの結果から次の一手を考えるきっかけになればという趣旨です。


引き続き、学校組織が意思決定貯金を貯めていく営みにささやかながら伴走させていただこうと思っております。

 

 

【書評】荒井英治郎「書評:山本渉『任せるコツ』」『月刊高校教育』2024年3月号,98頁

【書評】荒井英治郎「書評:山本渉『任せるコツ』」『月刊高校教育』2024年3月号,98頁


 『月刊高校教育』からのご依頼で、山本渉『任せるコツ』の書評を執筆させていただきました。

https://www.subarusya.jp/book/b625611.html

 

「できる人のところに、仕事ってどんどん集まりますよね。」「まああの人は仕事ができるから仕方ないですよ。」「自分でやった方が早いでしょうし。」

社会人の立ち話、「あるある」ですね。しかし、この捉えは、個人にとっても組織にとっても不健全でオススメできず、むしろ、仕事を「任せる」ことが最高のエンパワーメントともなりうることだってあります。適切に仕事を「任せる」ことは、自由放任とは似て非なるものです。

本書は、間違った仕事の任せ方が横行している現状に鑑みて、いつ、誰に、どのように任せるのか、仕事を任せることの意味を具体的な方法とセットで提示するものです。

仕事を「任せる」マネジメントは、あなたの「今」にとってだけでなく、同僚の「これから」の職能成長、さらには、持続可能な学校組織にとっても効果的なアプローチです。

「安易な仕事の丸投げ」から「健全な仕事の任せ方」へ。仕事の任せ方は、仕事の量と質をつなぐ重要な視点となります。

ご関心のある方はご一読ください。

【連載「コンパス」第28回】「交錯する教育政策の目的─教師の仕事「魅力」と「魔力」」

【連載「コンパス」第28回】「交錯する教育政策の目的─教師の仕事「魅力」と「魔力」」

 

 教育政策には、時に(いや、常に)対立する多様な期待が込められ、学校も、事実として、人材選抜・配分機能、文化伝承機能、秩序維持機能、子どもの保護監督機能など、多様な機能を同時に発揮している。

 

 政策の目的と手段は混同されやすく、手段の目的化が生じやすい。

 

 問題を解決するための政策が、解決するはずの問題をより深刻化させてしまうことも近年散見される。
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 2023年8月5日付の『信濃毎日新聞』の「教育面」(コンパス)に、第28回目の連載原稿を寄稿しました。

 

 今回のテーマは「職業としての教職の魅力と魔力」です。

 

 教育と政治の関係は、遠いようで近く、むしろ密着しています。

 

今回は、英国の教育学者ケン・ロビンソンらの著書「CREATIVE SCHOOLS」で紹介されている国(政治家)が教育を重視する4つの理由(経済的理由、文化的理由、社会的理由、個人的理由)を頼りに、交錯する教育政策の目的を実現する第一義的な存在としての教師が担う「教職」の難しさや悩ましさについて論じました。

 

 自身の教育哲学を研ぎ澄まし、自己認識を省察する。外的要請に対するアンテナの感度を高め、社会認識を刷新する。

 

こうした営みを日々実践する教職の存在は、「教師の卵」にとって、魅力と魔力、どう映るでしょうか。
 関心・興味のある方がいらっしゃいましたら、ご一読ください。
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「交錯する教育政策の目的─教師の仕事「魅力」と「魔力」」

 

  教育と政治。その関係は、遠いようで近い。いや、むしろ密着している。
 英国の教育学者ケン・ロビンソンらは、「CREATIVE SCHOOLS(クリエイティブ スクール)の中で、国(政治家)が教育を重視する理由に、次の四つを挙げている。
 第一は経済的理由である。教育は国の経済成長と国際競争力に大きな影響を及ぼす。従って、経済に寄与する高学歴の労働人口を増やすために巨額の予算を投じるという考えである。子どもの「経済的」自立のために教育は行わなければならないと表現されることもある。
 第二は文化的理由である。地域社会の伝統・慣習・価値観は、教育を通じて次世代に継承されていく側面を持つ。従って、既存の伝統・文化を守る再生産の手段として、他方で、異文化への寛容性を涵養する機会として、異なる方向性を志向する教育が同じテーブルに乗せられることも少なくない。
 第三は社会的理由である。子は「生まれ」を選べない。従って、全ての子どもの教育を受ける権利を保障すべきであるとする考えである。民主主義社会は市民の社会参画によって支えられているため、市民としての資質・能力を育成するシチズンシップ教育を積極的に行うべきだとする考えも、ここにぶら下がる。
 第四は個人的理由である。全ての子どもが力を発揮し、充実した生活を送ることができるために教育を行うべきであるとする考え方である。
 こうして、教育政策には、時に(いや、常に)対立する多様な期待が込められ、学校も、事実として、人材選抜・配分機能、文化伝承機能、秩序維持機能、子どもの保護監督機能など、多様な機能を同時に発揮している。政策の目的と手段は混同されやすく、手段の目的化が生じやすい。問題を解決するための政策が、解決するはずの問題をより深刻化させてしまうことも近年散見される。
 そして、相互に矛盾しながら交錯する目的を実現する第一義的な存在が、教壇に立つ教師となる。「教職」の難しさや悩ましさは、このようなところにもある。その専門性は内側に閉じられたものではあり得ず、外的世界との対話の機会に常に開かれたものであるからこそ、創造的な教育の実現に向けた道が開かれていくことになる。
 自身の教育哲学を研ぎ澄まし、自己認識を省察する。外的要請に対するアンテナの感度を高め、社会認識を刷新する。こうした営みを日々実践する教職の存在は、「教師の卵」にとって、魅力と魔力、どう映るだろうか。
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【講演】「教育行政・学校における不登校支援の現在ー長野県の取り組みを中心に─」@ 一般社団法人子どもの学びを支える熊本県民の会

【講演】「教育行政・学校における不登校支援の現在ー長野県の取り組みを中心に─」@
一般社団法人子どもの学びを支える熊本県民の会


2024年2月18日、一般社団法人子どもの学びを支える熊本県民の会からお声かけいただき、
「教育行政・学校における不登校支援の現在ー長野県の取り組みを中心に─」と題した講演をオンラインでさせていただきました。

 

今回は参加者の皆様の関心が「信州型フリースクール認証制度」とのことでしたので、仕組みづくりのプロセス(政策過程)と内容(政策内容)の概要をお話しさせていただいた上で、大部分をインタラクティブな時間にさせていただきました。

 

新たな仕組みに対して、様々なご期待感と懸念・心配・不安があるわけですが、「唯一最良の制度」(the one best system)はありませんので、今後自治体ごとに様々な仕組みの検討が行われ、政策競争が行われていくことを期待しています。

 

貴重な機会をどうもありがとうございました。



【連載「コンパス」第33回】「子どもの意見を『きく』ということー同じ地平で『景色』眺める」

【連載「コンパス」第33回】「子どもの意見を『きく』ということー同じ地平で『景色』眺める」

 

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 「子どもまんなか社会」の対極にある社会は、どのような社会だろうか。そこにあって、そこにないものは、何だろうか。視座が低く、視点が狭く、視点が固定的な私たち大人は、誰の立場で、誰の声を「きいて」いるのか。そして、誰の声が「きこえて」いないのか。

 

 2024年2月17日付の『信濃毎日新聞』の「教育面」(コンパス)に、第33回目の連載原稿を寄稿しました。


 今回のテーマは「きく」です。

 

 令和5年4月に、こども基本法が施行されましたが、1989年に国連総会で採択され、1994年に日本でも批准された「児童の権利に関する条約」の内容理解は十分でしょうか。例えば、意見表明権の「意見」の原文は、opinionでも、ideaでもなく、ましては、claimでもありません。実のところviewsです。

 子どもたちが見ている「景色」の彩りを共感的に受け止め伴走していくこと、これが「子どもの最善の利益」への王道的アプローチとなります。

 

 子どもが見ている「景色」を、同じ地平から眺めることに心を砕くこと。これなしに、教育の専門性は語れないのではないでしょうか。

 

関心・興味のある方がいらっしゃいましたら、ご一読ください。

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「子どもの意見を『きく』ということー同じ地平で『景色』眺める」

信州大学 荒井英治郎

 

 「子どもまんなか社会」の対極にある社会は、どのような社会だろうか。そこにあって、そこにないものは、何だろうか。

 

 令和5年4月に、こども基本法が施行された。日本国憲法児童の権利に関する条約の精神に則った同法は、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として制定されたものである。とはいえ、こども基本法の「全文」を読んだことがある大人は、いかほどか、実に心許ない。おそらく、不登校児童生徒などに対する教育機会の確保を目的とした、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(長い!)も、同様の状況であろう。

 

 また、こども基本法とこども家庭庁の設置は、1989年に国連総会で採択され、1994年に日本でも批准された「児童の権利に関する条約」の一般原則を念頭に置いた政策動向であるが、内容理解は十分であろうか。この条約は、いわゆる4つの原則(①生命、生存及び発達に対する権利、②子どもの最善の利益、③子どもの意見の尊重、④差別の禁止)から構成されているが、日本での「意見表明権」の表層的理解の状況には、ため息が出る。

 

 例えば、意見表明権の「意見」の原文は、opinionでも、ideaでもなく、ましては、claimでもない。実のところviewsである。すなわち、ここでの「意見」は、個別具体的な主張や確固たる見解といった、言葉として表現されるものに限定されず、不安や悲しみの気持ち、泣く、だまるといった行為・態度・しぐさ・振る舞いも、含まれるのである。

 

 「今はまだ決めない」という「決定」が、当事者の成長発達にとって大きな意味があることだってある。自分と異なる他者の視座(高さや低さ)・視野(広さや狭さ)・視点(鋭さや鈍さ)の存在を受容し尊重していくこと、換言すれば、子どもたちが見ている「景色」の彩りを共感的に受け止め伴走していくことが求められているのであり、これが「子どもの最善の利益」への王道的アプローチとなる。

 

 しかし、言うは易く行なうは難し。この道は極めて険しい。視座が低く、視点が狭く、視点が固定的な私たち大人は、誰の立場で、誰の声を聞いているのか。そして、誰の声が聞こえていないのか。少なくとも、大人だけで決めた最善の利益は、子どもにとって最善の利益であると言えるわけなかろう。

 

 子どもが見ている「景色」を、同じ地平から眺めることに心を砕くこと。これなしに、教育の専門性は語れまい。

(あらい・えいじろう 信州大教職支援センター准教授)

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