本日の午前中は、「学校改革をすすめる校長研修のありかたワーキンググループ」(長野県教育委員会事務局 学びの改革支援課)の第2回会合。
従来の知識伝達型から脱却し、学校改革をマネジメントする校長を育成するための新しい研修体系や改善案について議論が行われていて、末席に加えさせていただいております。
私からは、年間を通じた探究プロセスの構築や、現場の課題を的確に把握する「アセスメント能力」、関係者の合意形成を図る「ケースメソッド」の重要性、新任校長の孤独感を解消するためのメンター制度やピア・ラーニングといった伴走支援の仕組みづくりなどについて話題提供させていただきました。
提案のコアは、校長研修を「知識や技能を習得する場」から「学校改革を継続的に実践し、省察する仕組み」へと転換することにあります。特に、重要なのは、校長自身の成長を研修の最終成果とせず、教職員との関係性や学校の組織文化の変化、さらには子どもの学びの改善までを視野に入れる点です。その意味で、今後の検討では、「どのような研修を実施するか」という内容・方法の議論に加えて、「研修を通じて学校にどのような変化を生み出すのか」という成果の議論を深める必要があります。
今後、校長個人の学びにとどまらず、教職員の協働や組織全体の変容へとつなげるための具体的な方策が検討されていることを切に願っています。
----------------------------
●「校長が学ぶ研修から、学校が学び続けるための研修」
(校長個人の能力向上を目的とする研修から、学校組織の変革につながる研修への転換)
[研修デザイン上のポイント]
①年間の研修を一つの学習プログラムとして構造化すること
・今回の案では、春期研修で自校の学校づくりのテーマを設定し、秋期研修で実践 を交流する構想が示されている。この方向性をさらに発展させ、春期に課題を設定 し、校内で実践し、マネジメント研修で中間省察を行い、秋期に実践を交流するとい う、一連の探究プロセスとして設計してはどうか。
・研修を個別の機会として捉えるのではなく、年間を通じて学校改革を進める仕組 みとして位置付けることが重要。
②校長に求められる3つの資質能力を、一体的に育成すること
・今回の案では、ファシリテーション能力やマネジメント能力の育成については具体 的な内容が示されているが、アセスメント能力の育成については、まだ検討の余地 がある。
・学校の現状をデータや関係者の声から的確に把握し、教職員との対話を通じて 課題を共有し、組織として改善を進める。この一連の過程を経験できる研修が望ま しい。
③校長個人の能力形成と学校組織の変容を結び付けること
・校長が新しい知識や方法を獲得するだけでは、学校は必ずしも変わらない。
・校長の学びが教職員との関係性や組織文化の変化につながり、最終的に子ども たちの学びや育ちに還元されることが、研修の本来の目的。
・したがって、研修の成果についても、参加者の満足度や理解度だけではなく、研 修後の行動変容や学校経営上の変化を捉える仕組みが必要ではないか。
④校長の孤独を解消するための継続的な支援体制を具体的に構想すること
・校長同士の交流や情報交換の機会を設けることには意義があるが、日常的な悩 みや困難を安心して相談できる関係性は、単発の研修だけでは形成されにくい。
・郡市校長会との連携を進める上で、研修機会の提供とともに、校長同士のピア・ ラーニングなど、年間を通じた伴走支援の仕組みを検討すべきではないか。
・校長研修の改革は、研修内容や方法の変更にとどまるものではない。これからの 学校改革に必要な校長像とは何か、その校長像を実現するために、どのような経 験や学習機会が必要なのかを問い直す取り組みでもある。その意味で、校長にな る前のキャリア形成まで視野に入れた、連続性のある育成体系の構想が重要。
[方向性]
→研修の目的を知識の獲得だけに置かず、自校の実践を変えることに置く
①校長育成指標とすべての研修を結び付ける。
②研修内容を「学ぶべき内容」「学びたい内容」「県の施策展開に必要な内容」に分 類する。
③講義・対話・省察を一体化する。
④ケースメソッドを導入し、実践的な判断力を育成する。 ⑤県教育委員会と郡市校長会の役割を明確化する。
[ポイント]
①研修を年間の探究プロセスとして設計する
・4つの研修を個別に実施するのではなく、「課題設定→校内実践→中間省察→実践交流→次年度への改善」という一連の学習過程として構造化する。研修と日常の学校経営を結び付けることが重要。
②校長に必要な3つの能力を一体的に育成する
- アセスメント能力:学校の現状や課題を的確に把握する。
- ファシリテーション能力:教職員の対話と協働を促す。
- マネジメント能力:人的・物的資源を調整し、組織を動かす。
③ケースメソッドを通じて、正解のない問題に対応する力を育てる
・単なる判断の練習ではなく、価値観や利害が対立する「適応課題」への対応力を育成する。重要なのは、唯一の正解を見つけることではなく、多様な立場を理解し、納得解を形成する過程。
④多様な教職員を生かす組織づくりを重視する
・「若者文化への理解」を、世代・経験・専門性の違いを生かす組織マネジメントへ発展させる。心理的安全性、教職員の主体性、働き方改革、人材育成を一体的に考える必要がある。
⑤校長の孤独を解消する継続的な支援を整備する
・ 研修時の交流だけでは不十分。メンター制度、少人数のピア・ラーニング、オンラインでの実践共有、安心して相談できる窓口など、年間を通じた伴走支援が求められる。
⑥研修成果を校長の行動と学校組織の変化から評価する
・研修の満足度や知識の習得だけではなく、校長の行動変容、教職員の協働、学校の組織文化の変化を把握する。既存の学校評価等を活用し、評価のための事務負担を増やさない工夫も必要。
⑦校長就任前からの連続的な育成体系を構想する
・校長になってからの研修だけでなく、ミドルリーダー、教頭・副校長、校長登用前、新任校長、経験校長という各段階に応じた育成を体系化する必要がある。
[論点]
01 研修の連続性
年間を通じて、自校の改革課題を探究し続ける仕組みを構築できるか。
02 個人の学びから組織の変容へ
校長の能力向上を、教職員の協働や子どもの学びの改善にどう結び付けるか。
03 自律性と継続的支援の両立
校長自身が研修課題を選択できる仕組みと、孤立させない伴走支援をどう実現するか。
----------------------------






