信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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 【結果報告】「参議院議員通常選挙アンケート2022」

 【結果報告】「参議院議員通常選挙アンケート2022」

 

7月10日投票日の第26回参議院議員通常選挙を前に、長野県内の大学生を対象としたアンケート調査「参議院議員通常選挙アンケート2022」を実施いたしました。
 
今回は、信州大学長野県立大学長野大学松本大学上田女子短期大学の学生の皆さんにご協力をいただきました。心から感謝申し上げます。

 

アンケート調査の結果の概要をとりまとめましたので、ご関心のある方は以下からアクセスください。

参議院議員通常選挙アンケート2022」(結果概要)
http://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/social/アンケート/

https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/wp-content/uploads/2022/06/2022参議院議員通常選挙アンケート2022(結果概要).pdf

 

今回作成した質問項目は、以下の通りです。
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【質問項目】
①あなたの「性別」を教えて下さい。
②あなたの「年齢」を教えて下さい。
③あなたは、政治に、どの程度関心がありますか。
④あなたは、参議院議員通常選挙(6月22日公示・7月10日投票※予定)に、どの程度関心がありますか。
⑤あなたが投票する際に、重視する政策や課題は何ですか(複数選択可能)。
⑥あなたは、岸田内閣を支持していますか。
⑦あなたは、どの政党を支持していますか。
新型コロナウイルス対策でマスクを着用することについて、今後どのようにしていくのが望ましいと思いますか。1つ選んでください。
⑨あなたは、今後、日本が防衛力を強化することに、賛成ですか、反対ですか。
⑩現在の社会情勢を踏まえ、憲法を改正する必要があると思いますか。
⑪ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本はどのような立場をとるべきだと思いますか。自由に記述してください。
⑫政治に対するあなたの考え方や、これからの政治に期待することを自由に記述してください。
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上記の質問項目に対して、以下のような観点から概要をまとめさせていただきました。

 

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①約6割の回答者が、政治に対して、「とても関心がある」、「ある程度関心がある」と回答している(64.2%、233名)。また、「まったく関心がない」という回答は、5%にとどまった(4.7%、17名)。このことから、若者は、「政治に全く関心がない」とは断言できない。

 

参議院議員通常選挙に関しては、「とても関心がある」、「ある程度関心がある」の合計が、約53.6%(194人)という結果になっている。
 なお、2021年4月実施の「参議院長野県選出議員補欠選挙アンケート2021」の結果では、「とても関心がある」、「ある程度関心がある」の合計が約30%弱であったのに対して、2021年10月実施の「衆議院議員総選挙アンケート2021」の結果では、「とても関心がある」、「ある程度関心がある」の合計が、約55%という結果であった。
 これらのことから近年の「国政」レベルの選挙は、約5割程度の回答者が関心を有していることが推察される。

 

③投票時に重視する政策・課題に関しては、多い順番から、「景気や雇用」(57.1%)、「物価高対策」(44.5%)、 「少子化対策」(37.6%) 「年金など社会保障」(36.3%)、「環境やエネルギー」(34.1%)となっている。
 逆に少ない順番としては、「地方の活性化」(20.6%)、「財政再建」(22.3%)、 「憲法改正」(26.1%)、「外交や安全保障」(26.6%)となっている(複数回答)。
 「景気や雇用」や「物価高対策」が上位を占めた理由は、若者の生活実感と関わる政策としてこれらが位置づいていることによると思われる。なお、後述の通り(問9、問10)、独立質問としては、「日本の防衛力の強化」や「憲法改正の必要性」に関する回答として「賛成」が61%(222人)、「改正の必要性を感じている」が45.3%(164人)いるのに対して、「問5」のように、複数回答を求めた場合、 「憲法改正」や「外交や安全保障」は上位にはあがってこない。
 若者は、「憲法改正」や「外交・安全保障」といった国の輪郭を方向付ける政策課題より、「景気や雇用」「物価高対策」という生活実感とリンクする政策の方が優先度が高いものとして捉えている可能性がある。
 なお、「憲法改正」に関しては、2021年10月実施の「衆議院議員総選挙アンケート2021」の結果(18.1%)と比較した場合、今次のアンケートは26.1%と微増している。

 

④現政権に対しては、「支持している」(21.5%)、「支持してない」(23.1%)、「わからない」(55.4%)となっている。
 「わからない」(55.4%)という回答の多さに関しては、若者にとって岸田内閣誕生後に明確な政策転換が生じたと感じられる政策があまりないことから、「なんともいえない」「現状で特定の評価を下すことが困難である」など、一定数の若者が慎重な判断軸を持っているとも捉えることができる。

 

⑤支持政党に関しては、「自民党」(24.8%)、「立憲民主党」(5.5%)、「国民民主党」(4.1%)が上位を占めたのに対して、「特に支持している政党はない」が56.2%と、若者の多くが「無党派層」であることを改めて印象付ける結果となっている。

 

感染症対策におけるマスク着用に関しては、「これまでのようにできるだけ着用す
るべき」(37.1%)、「海外のように着用の義務は撤廃していくべき」(23.1%)、「個人の判断にまかせるべき」(36.8%)という結果となっており、「着用義務」と「個人判断」の結果が拮抗している。

 

⑦防衛力の強化に対する賛否に関しては、「賛成」(61%)、「反対」(19%)、「わからない」(20.1%)という結果となっており、ロシアによるウクライナ侵攻を好例とする社会情勢の変化を受けて、漠然とした不安感から「防衛力の強化」を求める見解が過半数を占める結果を導き出したと推察される。

 

憲法改正の是非に関しては、「改正する必要がある」(45.3%)、「改正する必要はない」(29.6%)、「わからない」(25.1%)という結果となっており、「改憲論」に共感し得る回答が約半数を占めた。

 

⑨コロナ禍において、若者の多くは、国の政策の方向性が、自分自身の日々の生活に直結することを体感しつつある。
 しかし、今次の選挙をめぐっては、政権与党の実績がエビデンスとして可視化されていない点、若者の生活実感として未だインパクトを伴うものがない点、政党間の政策上の争点が明確になっていない点なども影響してか、およそ半数を占める「無党派」層の若者がどのような政策選好を有するかは未知数である。
 他方で、ロシアによるウクライナ侵攻を好例とする社会情勢の変化を受けて、若者に限らず多くの国民が体感するに至った不安感の「名宛人」をどの政党に信託するか、マニフェスト比較だけでは政策実行力の多寡を判断しにくい中で、改めて政党の「党是」とは何であるのか、政党のミッション・ビジョン・ストラテジーを理解した上での投票が求められていると言ってよい。
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こちらのアンケートの結果等に関しては、 2022年7月7日のテレビ信州の番組でも取り上げていただく予定です。

http://www.tsb.jp/news/nnn/

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