信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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荒井英治郎「書評:ティモシー・R・クラーク『4段階で実現する心理的安全性』」『月刊高校教育』2023年9月号,106頁

荒井英治郎「書評:ティモシー・R・クラーク『4段階で実現する心理的安全性』」『月刊高校教育』2023年9月号,106頁

 

 『月刊高校教育』からのご依頼で、ティモシー・R・クラークの『4段階で実現する心理的安全性』の書評を執筆させていただきました。

 

https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/02/02/00637/

 

 偏見や差別意識を持たずに人と向き合う。人が学び成長することを奨励する。挑戦する人に多くの裁量を認め、伴走する。この「当たり前」を、私たちの組織は実現し得ているでしょうか。

 

 組織のインクルージョン(包摂性)とチームのパフォーマンスの基礎となり、イノベーションに満ちた文化を構築していく上で鍵となるのが、本書が取り扱う「心理的安全性」です。

 

心理的安全性とは、弱さを受け入れて報いる文化のことを指し、組織が「尊重」(人間としての価値を認め感謝するなど、私たちが互いに与え合う敬意や尊敬の度合い)と「許可」(他者が組織に参加し関与・交流することを許容する度合い)の両方を与えると、メンバーは心理的安全性を感じ、個人的成長のみならず価値創造をも促すことができるとされます。

 

本書では、心理的安全性は4つの段階(①「インクルージョン安全性(Inclusion Safety)」→②「学習者安全性(Learner Safety)」→③「貢献者安全性(Contributor Safety)」→④「挑戦者安全性(Challenger Safety)」)、を経て発展すると論じていますが、他者に対する恐れは個人の主体性と創造性を奪い、献身ではなく服従をもたらし、イノベーションを阻害します。

 

以下、目次です。
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イントロダクション
第1段階 インクルージョン安全性 Inclusion Safety
第2段階 学習者安全性 Learner Safety
第3段階 貢献者安全性 Contributor Safety
第4段階 挑戦者安全性 Challenger Safety
おわりに パターナリズムと搾取を回避する
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ご関心のある方は、ぜひご一読ください。貴重な機会をどうもありがとうございました。