信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

【論文】「コロナ禍における教育・福祉の機会保障をめぐる制度的課題と展望ー不登校児童生徒に対する『セーフティ・ネット』の構築に焦点を当ててー」『日本教育経営学会編『日本教育経営学会紀要』第65号,2023年6月,126-129頁

【論文】「コロナ禍における教育・福祉の機会保障をめぐる制度的課題と展望ー不登校児童生徒に対する『セーフティ・ネット』の構築に焦点を当ててー」『日本教経営学会編『日本教経営学会紀要』第65号,2023年6月,126-129頁

 

ご報告が遅れましたが、昨年度の日本教経営学会のシンポジウム(新しい教育の形と教育経営)に登壇しお話させていただいた内容の概要が学会誌に掲載されたようです。

 

 感染症の拡大は、日本の公教育制度を正当化してきた鍵概念(教育を受ける権利、教育の機会均等、教育の平等と公正・正義の関係、公教育と私教育の関係など)の再検討を要請しました。

 

 これまで前提・不問とされがちであった「登校」概念(分散登校・臨時休校、学年・学級閉鎖、出席・欠席・遅刻、出席停止・忌引、授業日・休業日の扱い、不登校/感染不安による長期欠席など)や「授業」概念(オンデマンドとリアルタイム、デジタルと対面など)の曖昧さ、学校が果たすべき役割・機能の多義性(学力保障:学習的機能、健康保障:福祉的機能、関係保障:社会的機能)に対して、根本的な問いが投げかけられ、教育ニーズの多様化を前に、公教育制度の動揺は続いています。

 

 学校は、文科省が謳う「令和の日本型学校教育」の実現に向けた学校改革に取り組む一方で、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」が示した「子供の特性を重視した学びの『時間』と『空間』の多様化」、経産省産業構造審議会教育イノベーション小委員会が提起した教育DX(学習資源の組み合わせ)と「場の選択肢」の多様化は、戦後日本の公教育制度の再編を促すものとなり得ます。

 

いずれも「レイヤー構造型思考」や「教育エコシステム論」を前提としたビジョンである点に注目すべきかと思います。

 

 本稿では、教育・福祉の機会保障という政策課題の中でも、不登校児童生徒に対して、いかなるセーフティ・ネットが構築されようとしているのか、長野県の事例紹介を行いながら、学校・行政レベルの課題と展望を論じました。

 

当該分野においては、現実が相当程度進行して関係者もキャッチアップしたり、全体像を捉えることが難しいかと思います。
私自身も引き続き学び考えていきたいと思っております。

 

ご関心のある方は、ご一読ください。