信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【ご報告】特色ある県立高校づくり懇談会 構成員

【ご報告】特色ある県立高校づくり懇談会 構成員
長野県の「特色ある県立高校づくり懇談会」の構成員を拝命し、本日初会合が行われました。
私からは、以下の3点に基づく発言をさせていただきました。


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①高校・高校生(若者世代)の位置付け
・学習者主体の「学びの県づくり」を掲げるならば、若者世代をこれまでの、既存の社会の責任を担わせるような社会の「担い手」ではなく、これからの、新しい社会を共に創造していく「創り手」のパートナーして明確に位置付け、若者世代の育ちと学びのための支援あり方を具体的に考えていく必要がある。
・若者世代は、教育の対象というよりは、学びの主人公である。人生というゲームをするコントローラーを渡すだけではなく、ゲームのルールやゲームの世界観それ自体を創造していくような存在として位置付けていく必要がある。
・そこでの学びは、いわゆる人生を生き抜くための「⚪︎⚪︎力」といった能力観に矮小化されないものであるべきで、自己調整学習に焦点を当てることや人生を「楽しむ」ウェルビーイングにも目配せをしていく必要がある。
・以上のためには、相当程度の教育制度のストレッチが必要となる。

 

②特色・魅力化の方向性
・学校の「特色」を出すために尽力するのは学校ではあるが、他方でそこでの学びを魅力的と感じるかは「学びの当事者」によって方向づけられるものであるが、ナイーブな二項対立に陥らず、ともに学びを作っていく関係性が今後重要となる。
・自前主義の限界が顕在化している中で、学びの「需要者」と「供給者」という捉えだけでは不十分であり、現時点での特色を磨くとするならば、その特色の「内容」とその特色を伝えていくための「方法」に関する仕組みづくりを進めていく必要がある。
・その仕組みづくりを「駆動」させるリソースに関して、現在の教職員スタッフだけで限界があるならば、コーディネーター人材等の手当てが必要不可欠である。
・現在の高校に特色がないとするならば、時間割、単位、学び方、学習環境、カリキュラム、人事など、抜本的改革が必要となる。

③行政の役割
・カリキュラムオーバーロードが指摘されている中で、現時点での教職員の労働環境は極めて厳しく、今後抜本的な改善が必要である。
・学習環境の整備といった場合、①自然環境、②文化的環境、③人間的環境、それぞれの再検討が必要である。
・特に人間的環境の代表例である教員の「エンパワーメント」は必要不可欠である。
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短期決戦となる模様ですが、引き続き、末席で尽力してまいりたいと思います。