信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【講演】「不登校児童生徒の多様な学びと市町村教委の役割─誰の、何のために、何をすべきか」

【講演】「不登校児童生徒の多様な学びと市町村教委の役割─誰の、何のために、何をすべきか」

 

2022年11月22日、不登校児童生徒に対する学びの継続支援事業として開催している「市町村教育委員会への不登校支援の仕組みづくり説明会」の第2回会合が行われ、「不登校児童生徒の多様な学びと市町村教委の役割─誰の、何のために、何をすべきか」と題した講演をさせていただきました。

 

特に、私の方からは、
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不登校児童生徒が学校外で学習活動や体験活動等を行っている場合、学 校は子どもや保護者等とコミュニケーションをとりながら、その状況を丁寧に把握していくことが支援の第一歩となるが、運用上の課題は少なくないこと
・特に、①人的な条件整備(「不登校支援コーディネーター」の配置など)、②物的な条件整備(「教育支援センター」の設置、様々な学びが提供できる環境等の整備)、③財政的な条件整備(憲法第89条(公金支出の制限)の制約と財政支援の可能性)、④ネットワークに関する条件整備(不登校支援団体、親の会、教育行政の情報共有など)などあらゆる観点からの検討が求められていること
・「不登校児童生徒」の教育機会の保障を検討することは、通常教室等における子どもたちの学びのあり方をも再吟味する契機となること
・教育機会の保障の成否は、教育行政及び学校のマネジメント能力に依存することになり、このことは校長の意思決定のあり方と教育委員会との関係をも問うものとなること
についてお話しさせていただき、子どもにとっての「承認」の捉え直し(①「結果」の承認欲求、②「行動」の承認欲求、③「成長」の承認欲求、④「存在」の承認欲求)をしていくこと--------------------------------------

の必要性を指摘させていただきました。

 

当日は、阿智村教育支援センターから「不登校児童生徒へのICTを活用した学びの実践 」、長野市教育委員会から「民間施設・団体との連携」と題した実践発表をいただき、各市町村の奮闘ぶりをとてもよく理解することができました。

 

AかBかという二項対立に陥ることなく、AもBもという視点を大切にしながら、引き続き尽力していきたいと思っています。貴重な機会をどうもありがとうございました。