信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【書評】荒井英治郎「河口竜行他編『シリーズ 学びとビーイング1 いま授業とは、学校とは何かを考える』」『月刊高校教育』2023年1月号,110頁

【書評】荒井英治郎「河口竜行他編『シリーズ 学びとビーイング1 いま授業とは、学校とは何かを考える』」『月刊高校教育』2023年1月号,110頁

 『月刊高校教育』からのご依頼で、『シリーズ 学びとビーイング1 いま授業とは、学校とは何かを考える』の書評を執筆させていただきました。

https://ryoyu-pub.com/news/700/

 コロナ禍は、私たちの「日常」を一変させました。手間と暇をかけながら手応えを感じていた取り組みはいとも簡単に崩れ落ち、これまでの「常識」や「当たり前」は、無前提に通用しなくなりました。モノローグ的なメッセージはほぼ意味をなさなくなり、「伝える」と「伝わる」の違いを意識しながら、他者とのコミュニケーションを丁寧にとっていくことが求められるようになりました。

 

 他方、次の一歩を踏み出すために意識して「立ち止まる」ことの大切さ、喧騒に振り回され近視眼的思考に陥りやすい中で、物事を複眼・俯瞰的に捉えることが場・空間の多様性や集団・組織の持続可能性を担保することに寄与することを体感し始めました。

 

 惰性や前例踏襲という名の「現状維持思考」から、物事の本質を捉えて未来を描こうとする「本質思考」「未来思考」へシフトしていこうとする機運が高まりつつあります。

 

 これに対して、25の特別寄稿や連載企画、そしてBOOK REVIEWまで所収された本書は、自らの「子ども観」「教育観」「学校観」「授業観」等を明け透けなく表明・言語化することを通じて、等身大の自分(の能力)と真摯に向き合い、新たな「学び」の輪郭を描こうとする挑戦の書となっています。

 

本書が教師個人のリフレクションツールとなるに留まらず、開かれた教職コミュニティにおける豊かな対話の場の形成に寄与していくことを期待したいです

 

ご関心のある方は、ぜひご一読ください。貴重な機会をどうもありがとうございました。