【書評】荒井英治郎「児美川孝一郎『自分のミライの見つけ方』」『月刊高校教育』2021年10月号
このたび、『月刊高校教育』からのご依頼で、児美川孝一郎先生の『自分のミライの見つけ方』の書評を執筆させていただきました。
(https://www.gakuji.co.jp/script/magTop.php?fieldcd1=810)
https://www.junposha.com/book/b584264.html
「夢や将来やりたいことは、何ですか。まだ決まっていないのなら、早く決めて、今すぐ目標に向かって行動し、努力し続けてください。」
こうした指導観に、心当たりはありませんか。
大人の「熱心」な指導が、ハラスメントや強制に近いニュアンスで子どもに伝わり、過度に早期の進路決定を促す。
そして、子どもたちが、来るべき社会や未来、そして、何より等身大の自分とじっくり向き合う機会がごっそりと失われてしまう。
良かれと思ってなされる「善意」の指導が、子どもの将来のためになっていないとしたら、それは、不運以上に不幸でしかありません。
本書は、10代の若者が自立に向かう旅への誘いの書です。
社会や自分との向き合い方を模索し、社会に出ていくための準備プロセスとして「キャリア教育」を位置付ける著者が、本書で提起する問いやそれに対する視点(世の中や物事の見方・考え方)は、本質的なものが多く、時に厳しく、特に優しい「激励」のメッセージが並ぶ本書を読了した後の若者は、胸のモヤモヤやザワツキを感じながらも、心と体が軽くなるに違いありません。
実は、もうずいぶん前になりますが、児美川孝一郎の『キャリア教育のウソ』に関しても『月刊高校教育』2013年9月号で書評をさせていただいておりました。
私のキャリア教育に対する「モヤモヤ」を言語化してくれた書でもあります。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480688996/
ご関心のある方は、こちらもぜひご一読ください。
貴重な機会をどうもありがとうございました。