信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【書評】荒井英治郎「書評:津野香奈美『パラハラ上司を科学する 』」『月刊高校教育』2023年12月号

【書評】荒井英治郎「書評:津野香奈美『パラハラ上司を科学する 』」『月刊高校教育』2023年12月号


 『月刊高校教育』からのご依頼で、津野香奈美さんの『パラハラ上司を科学する 』の書評を執筆させていただきました。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075345/
7/

パワハラの3要件、ご存知でしょうか。

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①優越的関係を背景とする言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えている言動
③労働者の就業環境が害されている言動
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の3つです。

一見、明瞭ですが、実際はどうでしょうか。

本書は、パワハラ測定の尺度開発も行っている著者が、科学的データを踏まえて、誰が行為者になり、いかなる性格特性の上司がパワハラしやすいかをわかりやすく論じたものです。

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・パラハラは、同僚性が高ければ起こらない。
→×実際は、仲が良すぎたり、職場の雰囲気がくだけ過ぎたりしている職場の方が起こりやすい。

・部下と積極的に関わらない方が起こらない。
→×。実際は、部下と積極的に関わらない「放任型」上司の方が起こりやすい。
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こうした私たちの無自覚な前提をエビデンスを元に紐解いていく本書の記述は鮮やかです。

心身共に健康で働ける範囲の仕事の内容や負荷のあり方を模索する全ての職業人は、ぜひご一読ください。

以下、HPから目次の転載です。
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第1章 パワハラとは何か

第2章 誰がパワハラをしているのか

第3章 パワハラを引き起こす上司の三大リーダーシップ形態

第4章 なぜパワハラは起こるのか―パワハラが発生するメカニズム

第5章 パワハラ上司にならないためにはどうすればいいのか
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貴重な機会をどうもありがとうございました。