信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【書評】荒井英治郎「田村哲夫『伝説の校長講話-渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』」『月刊高校教育』2023年6月号,69頁

【書評】荒井英治郎「田村哲夫『伝説の校長講話-渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』」『月刊高校教育』2023年6月号,69頁

 

 『月刊高校教育』からのご依頼で、『伝説の校長講話-渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』の書評を執筆させていただきました。

https://www.chuko.co.jp/tanko/2023/01/005622.html

 

 人は、自分の興味・関心や好奇心に導かれると、その対象に没入し、夢中になります。また、他者とのコミュニケーションを通じて心が動かされると、他者を理解することで自分を理解することができ、他者理解は自分で考え決めていくために不可欠な営みであることを知ります。この体験を積み重ねることで、 より知りたい、深めたいという意欲が喚起され、自分軸で「生きる意味」を見出すことにつながっていきます。

 

 本書は、リベラル・アーツ教育のみならず、日本の学校改革を牽引してきた「渋幕」「渋々」の86歳学園長による書です。「自調自考」「国際人としての資質」「高い倫理観」の3つの教育理念を掲げる本書の第1部は、学習者の主体性と自由を重視する「自調自考」(自ら調べ、自ら考え、自らを知る)を実現する取組の一環として、文系・理系を超えた「中高生のリベラル・アーツ」として行われている校長講話の記録です。第2部は、「読売新聞」朝刊の長期連載シリーズ「時代の証言者」の内容(2021年7-8月、計33回)を大幅加筆して所収したものです。

 

 人は、「法律」や「ルール」によってのみ動かされるわけではなく、「言葉」によって突き動かされます。そして、その言葉に固有の「意味」を持たせるものが、その人が歩んできた「これまで」の轍の深さと、「これから」を展望する射程の広さです。
 
ご関心のある方は、ぜひご一読ください。貴重な機会をどうもありがとうございました。