信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【書評】荒井英治郎「地域・教育魅力化プラットフォーム編『地域協働による高校魅力化ガイド』」『月刊高校教育』2019年9月号

【書評】荒井英治郎「地域・教育魅力化プラットフォーム編『地域協働による高校魅力化ガイド』」『月刊高校教育』2019年10月号


 ご報告が遅れましたが、『月刊高校教育』2019年9月号に書評を執筆させていただきました。

 本書は、「学校×地域」という「計算式」に対する多様な「解法」が示された高校改革の参考書です。

とはいえ、「正しいやり方」や「答え」など、唯一の「正解」が書かれているわけでは、決してありません。

例えば、第1部「高校魅力化とは」では、そもそも、なぜ、今、地域協働による魅力ある高校魅力化なのか、学校と地域にとっての意義・意味とは何か、そして、高校魅力化の4つのポイント(①チームづくり、②コンソーシアムづくり、③ビジョンづくり、PDCAサイクルづくり)に着目しながら、どのように高校魅力化の基盤形成を進めていくべきかが示されています。このほか、第5部「未来につなぐ評価」では、教育関係者の誰もが一度は頭を抱えるであろう「評価」のあり方をめぐって、生徒・学校・地域の変容をいかなる指標で測定できるか、そして、評価結果をどのように次の改善(未来)につなげていくことができるか、「高校魅力化評価システム」が紹介され、「学びの土壌づくり」の重要性と課題が示されています。

本書のタイトルは、「地域協働による高校魅力化ガイド」となっていますが、「高校魅力化による地域協働ガイド」としても有用です。コミュニティ・スクールは、スクール・コミュニティとして変貌を遂げ、地域社会と子どもの自立を実現する基盤となるのでしょうか。

読者は、地域特有の個別解を志向する取り組みが、逆説的に、全国の最適解を模索していく方法論のスタンダードになるかもしれないという読後感を持つはずです。ご関心のある方はご一読ください。

 

 

地域協働による高校魅力化ガイド: 社会に開かれた学校をつくる

地域協働による高校魅力化ガイド: 社会に開かれた学校をつくる