信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【研修講師】「『不機嫌なPTA』から『ご機嫌なPTA』ヘ」@郡市PTA・県PTA新旧役員第30次研究委嘱PTA研修会

【研修講師】「『不機嫌なPTA』から『ご機嫌なPTA』ヘ」@郡市PTA・県PTA新旧役員第30次研究委嘱PTA研修会

 

2022年2月26日、長野県の郡市PTA・県PTA新旧役員第30次研究委嘱PTA研修会からご依頼いただき、30次研究委嘱PTAの4つの取り組み(佐久市立中込中学校PTA、伊那市立高遠中学校PTA、白馬村立白馬南小学校PTA、長野市立若槻小学校PTA)に対するコメントと、「関わりがいがあって、関わりやすい活動」に向けたポイントに関して、お話をさせていただきました。

 

冒頭投げかけさせていただいた問いは、以下のようなものです。


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①現在の活動のあり方に「満足」していますでしょうか?
②これからの活動に「不安」はありますでしょうか?
③自分(の家族)にとって、「最高」の関わり方は、どのようなものでしょうか?
④現在の関わり方は、「自分の子ども」にも残したいスタイルになっていますでしょうか?
⑤全ての子どもために行っている活動が、「未来の子ども」のためにもなっているでしょうか?
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「関わりがいがある活動」に関しては、まさに「エンゲイジメント」を高めていくことが必要となりますが、個人的には「関わりやすい活動」の場づくりを前提としてこれらを推進していくべきだと考えています。

以下、大塚玲子『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版,2021年)にヒントを得て作成した「ご機嫌なPTA」のチェックリストです。ご参考にしていただけたらと思います。

 

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【PTAご機嫌度チェックリスト(10項目)】
□入会届・退会届が整備がされている。
□入学説明会や入学式の時に、「任意加入」に関する丁寧な説明がなされている。
□入会・退会に関して、きちんと会則に書かれている。
□個人情報保護条例に基づいて個人情報が扱われている。
□会費が適切な手続きで引き落とされている。
□個人の意思が尊重される形での役員決めが行われている。
□個別事情(家族・健康上の理由)に「やさしい」対応がされている。
□ノルマがない。
□全ての子どもを対象とした活動が展開されている。
ジェンダー・バランスが保たれている。
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また、今後のPTAのあり方として「関わりやすい活動」に向けて改めて検討いただきたい論点をまとめました。こちらの取り組みが最低限のものとなり、新たなスタートラインを切られることを切に願っています。

 

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①入退会の仕組み(入会届・退会届)の整備、会則の整備
②任意加入(入退会自由)に関する事前(入学説明会)・事後(PTA総会)の丁寧な説明
③個人情報の適切な取り扱い(学校名簿の無断流用の防止)
④PTAー学校間の業務委託契約の締結(学校の代理徴収)
⑤「手挙げ方式」の導入、定員の廃止
⑥役員選考方法・選考過程の明確化
⑦活動のスリム化・細分化・効率化
⑧PTA活動のDX化
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多様な保護者等の意思・気持ちが尊重される運営をしていくことではじめて、「不機嫌なPTA」は「ご機嫌なPTA」ヘシフトしていくことができます。コロナ禍においてPTAのあり方が問われています。

 

貴重な機会をどうもありがとうございました。