信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【学会発表】清水優菜・荒井英治郎「高大連携が探究学習に及ぼす効果検証」イノベーション教育学会第9回年次大会

【学会発表】清水優菜・荒井英治郎「高大連携が探究学習に及ぼす効果検証」イノベーション教育学会第9回年次大会

 

2022年2月24日、イノベーション教育学会第9回年次大会で、「高大連携が探究学習に及ぼす効果検証」と題した発表をさせていただきました。


https://inno.education/1462/

 

「総合的な探究の時間」の質の向上・改善させる一案をして、高校生を対象に大学の教育資源を活用して行う教育活動である「高大連携」があり、高大連携を用いた総合的な学習あるいは探究の時間に関する実践研究では、動機づけが高まるなどその効果の一端が実証されていますが、先行研究には、①1群事後テストデザインに基づく研究の多さ、②汎用的な資質・能力をアウトカムとして取り上げた研究の少なさという課題があります。
そこで本学会発表では、「総合的な探究の時間」に高大連携を取り入れることは、汎用的な資質・能力や学習動機づけの向上に効果を有するのかというリサーチクエッションを設定し、2020年度から探究の時間に高大連携を取り入れた長野県の公立高校A校での教育実践研究(1年生を対象に行われた高大連携による「大学連携ゼミ」の効果検証)を行いました。

 

本研究では「批判的思考態度」と「課題価値」の観点から効果検証を行い、その結果、①ゼミの分野・種類・方法に関わらず、「批判的思考態度」については全下位尺度(論理的思考への自覚、探究心、客観性、証拠の重視)、「課題価値」については興味価値以外の下位尺度(実践的利用価値、制度的利用価値、獲得価値)が高い水準からより高まること、②2021年度の方が2020年度と比べて、批判的思考態度のうちの、「証拠の重視」の向上が大きかったこと、③参加したゼミの違いは、「客観性」と「興味価値」の約10%説明するが、他の下位尺度をほとんど説明しないことが示され、総合的な探究の時間に高大連携を取り入れることが「汎用的な資質・能力」や「学習動機づけの向上」に及ぼす効果を一定程度示すことができました。

 

今回同学会への参加に初めて参加させていただきましたが、ご質問やコメント等もいただき、また参加者の皆様のアンテナの感度の場所もわかったため、引き続き研究を進めていけたらと思っております。