【書評】荒井英治郎「藤原辰史『給食の歴史』岩波新書,2018年」『月刊高校教育』2019年3月号,学事出版,106頁。

【書評】荒井英治郎「藤原辰史『給食の歴史』岩波新書,2018年」『月刊高校教育』2019年3月号,学事出版,106頁。

『月刊高校教育』(2019年2月号)に、藤原辰史『給食の歴史』(岩波新書)の書評を執筆させていただきました。

脱脂粉乳
コッペパン
ソフト麺
・牛乳ビン。

学校給食をめぐる思い出話は事欠きませんが、みなさんの給食のイメージは、ポジティブorネガティブ、どちらでしょうか。

本書は、給食をめぐる制度・理念・思想を、5つの観点(①子どもの貧困対策、②災害対応、③陳情・抗議運動、④教育実践、⑤世界政治)から紐解き、未完のプロジェクトとしての給食の受難の歴史を描きます。本書によれば、学校給食は、食を通じて命のバトンを未来へつなぐ「光」の側面(生命維持装置)と、多様な思惑(教師、学校、企業、政治、世界など)が複雑に絡み合い子どもに権力として機能する「影」の側面(暴力装置)の2つを併せ持ちます。

では、日本の給食は、19世紀後半から現在に至るまで、その量と質をめぐって、いかなる紆余曲折を経て、何を達成し、何を積み残してきたのでしょうか。

「一回限りの大事件に比べ日々淡々と繰り返される小さな出来事に、人は注意を向けたがらない」(5頁)。

しかし、歴史の総括の意義は、必ずしも過去の清算にとどまるものではなく、新たな未来を展望する航海図を描く一助となります。

ぜひご一読ください。