信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【報告書】平成30年度文部科学省委託事業「 学校の総合マネジメ学校を対象とする調査・ 照会等への対応に係る教職員の負担軽減に向けた調査研究」

随分と報告が遅れましたが、平成30年度文部科学省委託事業「 学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究事業ー学校現場 における業務改善加速事業ー」として、「学校を対象とする調査・ 照会等への対応に係る教職員の負担軽減に向けた調査研究」 の委託を受けまして、2019年3月末に報告書を作成しました。


今回は、長野市教育委員会と共同して、 以下の3つの取り組みを行いました。


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①教職員(学校事務職員を含む)に対して、 教育委員会や外部の民間団体等からの調査・照会等についての, 教育活動との関連性について意識等の調査を実施し、 カリキュラムマネジメントとしてのとらえ方の実態を明らかにする こと


②調査・照会等の意義を意識化するために, 教職員が日常業務として記録する週案簿(教務手帳) のデジタル版を開発し,有効な活用法を提案すること


③教師の多忙感の原因のひとつに, 指示された業務の目的を理解せず実行している場合が考えられるこ とから, カリキュラムマネジメントに関するビデオ研修教材を開発すること
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特に、①の実態調査からは、
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・保存されている提出書類に関しては、 校務支援システム上で回答しているものについて、 印刷して紙の情報として綴るか、 ネット上のデータとしてのみ保存しているか学校差があること
・外部からの文書等については、① 紙媒体として学校事務に届くもの、② 電子メールに添付されてくるもの、③ 校務支援システムで配信されてくるものと、 受け入れチャンネルが複数化していること
・紙媒体として学校に届いた文書についても、 回答が必要な内容のものについては、 回答内容のコピーが保存されている一方で、 それ以外のものについては、 教頭等の判断により廃棄されていること
・外部からの問い合わせの内容に関しては、「照会」、「依頼」、 「通知」などに分類可能だが、圧倒的に多いのが、
「依頼」であり、かつ「お願い」という表記のものもあること
・学校への問い合わせルートには、大別して、① 文部科学省ー県教育委員会ー市教育委員会ー学校( 指導主事経験ありの教頭)、②文部科学省ー市教育委員会ー学校、 ③市教育委員会ー学校、④市議会ー市教育委員会ー学校、⑤ 外部機関ー学校ー保護者の5パターンがあること
・受け入れチャンネルに関しては、①校務支援システム、② 学校公用メール、③校長公用メール、④教頭公用メール、⑤ 教頭個人公用メール、⑤教頭個人公用メール、⑥紙媒体(郵送・ 持込)と、大別して6パターンがあり、 多チャンネル化していること
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などの実態が明らかになりました。


こうして、改めて「暗黙知」の可視化ができましたが、
こうした実態に対してどのレベルで「ルール化」 をしていくことができるかどうか
考えていく必要があると思います。


ご協力いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。

 

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