『月刊高校教育』(学事出版)の2015年9月号に、書評を執筆させていただきました。
日本の教員の勤務時間の平均が週53.9時間と世界最長で、特に課外活動の指導時間が長く、人材の不足感も大きいといった国際教員指導環境調査(TALIS2013)は、教員の「多忙化」を示すエビデンスとして注目を浴び、教員の働き方それ自体を政策課題化する契機となりました。とはいっても、子どもと向き合う現場は「待ったなし」の状況にあり、教員のメンタルヘルス対策は急務であることは言うまでもありません。
これに対して教員のメンタルヘルスの予防・対処プロセスを「見える化」し、全体像を示したものが本書です。
教員100人に1人が病気休職、公立学校7校に1人が精神疾患により休職する時代です。「24時間教師」をやめること。本書のメッセージはシンプルで、「ただの自分」に戻れる時間・場所・人を確保するという方向性も明確です。
教育現場・行政ともにこうした認識を前提に据えた対応策を検討する必要があることは言うまでもありませんが、ご関心のある方は、著書と共にご一読ください。