【編集】教育フロンティア研究会編『ポケット教育小六法(2024年版)』晃洋書房,2024年4月
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晃洋書房から刊行されている『ポケット教育小六法』の編集委員を拝命しており、2024年版の編集に関わらせていただきました。
日本で「最小サイズ」の教育六法かと思います。
ご興味・関心のある方はぜひご覧ください。
【キーワード解説】高見茂監修『必携教職六法(2025年度版)』協同出版,2024年1月
『必携教職六法』刊行のお手伝いをさせていただきました。
出版社から複数冊いただいておりますので、ご入り用の方は、ご連絡ください。
【連載「コンパス」第34回】「子ども捉える統一基準をー教員の「主観」だけに頼るのでなく」
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2024年3月23日付の『信濃毎日新聞』の「教育面」(コンパス)に、第34回目の連載原稿を寄稿しました。
今回のテーマは「気になる/気にならない子ども」です。
「リスクの宝庫」である学校の敷地は「落とし穴」だらけです。
現在、教育相談体制の充実策として「スクリーニング」の実施が注目されていますが、ポイントは、「全て」の子どもを対象としながら、早期に「気になる」事例を「複数メンバー」で洗い出す点にあります。
他方で、学校では、「気になる」子どもを抽出する際、①教員ごとに子どもを捉える「基準」がバラバラ、②そもそも「全て」の子どもが対象とならず、「気になる」レベルの低い子どもが情報共有のテーブルに乗らない、③情報を学校内で共有するだけで満足してしまい、状況改善のためのアクションまでつながらないなど、教員の「主観」に頼ることにより構造的課題があります。
この状況は、結果として、教師の専門性を発揮する余地を自ら狭めてしまうことにもなりますので、「気になる」子ども事案の重大化を防ぐだけでなく、「気にならない」子どもへの感度を磨き続けるために、重い腰を上げてみてはどうかという点をさせていただきました。
関心・興味のある方がいらっしゃいましたら、ご一読ください。
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【連載「コンパス」第34回】「子ども捉える統一基準をー教員の「主観」だけに頼るのでなく」
「リスクの宝庫」である学校の敷地には、「落とし穴」がいっぱいある。
教育相談体制の充実策として「スクリーニング」の実施が衆目を集めているが、そのポイントは、「全て」の子どもを対象としながら、早期に「気になる」事例を「複数メンバー」で洗い出す点にある。
文科省の「スクリーニング活用ガイド」によれば、「気になる」子どもを抽出する際、教員の「主観」に頼る場合が多いという。しかし、そこには構造的課題がある。
第1は、教員ごとに子どもを捉える「基準」がバラバラである。歩んできたキャリアや蓄積してきた知識・経験が異なるため(このこと自体、悪いことではない)、「気になる」の感度が必然的に異なる。従って、同じ子どもをみても、教員ごとに判断も異なり、高リスク該当者が学校のフィルターをすり抜けてしまうことがある。
第2に、そもそも「全て」の子どもが対象とならず、「気になる」レベルの低い子どもが情報共有のテーブルに乗らないことがある。全ての子どもを同一基準で捉える仕組みの未整備は、「気にならなかった」子どもの存在を潜在化させ、学校生活だけでは把握し難い課題(子どもの家庭環境など)の発見は遠のき、活用し得た資源を活用するタイミングを逃してしまう。
第3に、情報を学校内で共有するだけで満足してしまい、状況改善のためのアクションまでつながらない。これでは、本来、組織として対応すべき課題が、個人や家庭の問題として矮小化され、多機関連携は一向に進まない。
説明責任時代において、教員の主観的な判断(このこと自体、否定すべきでない)を「唯一」の根拠として判断を行っていく体制では、学校への不審と不信は深まるばかりである。また学校にも徒労感が蔓延し、教師の専門性を発揮する余地を自ら狭めてしまうことにもなる。
そこで、「気になる」子ども事案の重大化を防ぐだけでなく、「気にならない」子どもへの感度を磨き続けるために、重い腰を上げてみる。例えば、共に子どもを支える学校外の支援者(カウンセラー、ソーシャルワーカー、居場所・フリースクール運営者など)と膝を付き合わせながら、統一的基準に基づく客観的な情報を共に眺めてみることは不可能か。遠回りのように感じられようが、「落とし穴」に落ちるリスクは低減できるはずである。
「担わされる責任」から「担う責任」へ。圧倒的なまでにリソース不足にある学校への伴走を謳う行政の本気度が問われている。
(あらい・えいじろう 信州大教職支援センター准教授)
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【プレスリリース】「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について
今年度も、昨年度に引き続き、松本キャンパスで大学生活を送っている信州大学生を対象としたアンケート調査として「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」を行いました(私が顧問を務めている学生団体CHANGEとの共同調査となります)。
取り急ぎ、アンケート結果を取りまとめましたので、ご報告いたします。
当該アンケートでは、次のような結果が得られました。
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「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について
【生活面】
・勉強の項目では、学生の多くは普段はあまり勉強しないが、試験期間になると途端に勉強することが分かる。
・普段勉強する時間帯は「21時から24時」が多い。
・普段勉強する場所は「自宅」が多い。
・勉強場所を選ぶ基準として、「静か」「長時間利用できる」「お金がかからない」という理由が多い。
・買い物に行くための移動手段は、主に「自転車」が多い。
・昼食は「学食」、夕食は「自宅」で食べる割合が高い。
【交通面】
・回答者の約8割が自分用の自転車を所有している。
・駅前に行く交通手段は「自転車」と答えた回答者が多く、続いて「バス」を利用する回答者が多い。
・大学周辺の道路については「道が狭い」、「舗装状態が悪い」、「混雑している」との回答が多い。
【余暇】
・「余暇」の過ごし方として、「睡眠」「ゲーム」「ネットサーフィン」等など、自宅で一人で過ごす回答が多い。
・松本市の文化施設の中で、回答者の多くが「松本城」に行ったことがある。
・大学周辺に欲しい施設の項目では、 「カフェ」を希望する回答者が多い。
【魅力】
・ほとんどの項目(「環境」、「教育・子育て」、「文化」、「芸術」、「産業」、「観光」、「食」、「交通」、「医療・福祉」)で「満足」、「やや満足」と答えた回答者が多い。
・「交通」の項目では、約8割の回答者が「不満」、「やや不満」と回答している。
【政治・行政】
・回答者の約85%が、松本市の政策について「知っていることはない」と回答している。
・今後重視してほしい政策は、「交通」が最も多く、次に「教育・子育て」に関する政策である。
・回答者の2割が、松本市に住民票を移動している。
・若者の政治への関心を高めるための取り組みとしては、「若者向けの政策の充実」、 「投票方法・場所の改善」、 「既存の投票制度の改善」という回答が多い。
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当該アンケートは2017年から継続実施しておりますが、引き続き、若者の定点観測を続けて参りたいと思う所存です。引き続きよろしくお願いいたします。
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https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/wp-content/uploads/2024/02/240224信州大学松本キャンパス大学生活アンケート.pdf
過去のアンケート結果は以下もご参照ください。
https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/social/アンケート/
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