信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

FD合宿(2日目)

FD合宿の2日目は、
各グループで与えられた課題を深める作業ともに、
ポスターセッションの準備に多くの時間を費やしました。

お恥ずかしながら、ポスターセッションは未経験でしたが、
振り返りをパーソナルなレベルまで落とし込む上ではなかなか有益だと思いました。

2日目のメモは下記の通りです(後日アップします)。

                                                                    • -

●「課題1」
あなたの所属する大学・学部・学科において、実施可能なFDプログラムを開発してください。
成果物として、「①実施要綱」、「②日程表」の作成をお願いします。
テキストにサンプルが掲載されています。

●「課題2」
実施されているFDプログラムの体系図(FDマップ)を開発して下さい。
※最終日に、実施要綱と日程表をプリントアウトし壁面に貼り付けてポスターセッションを行います。


≪プログラムの立案≫
●ニーズ把握の意義

【FDに求められるニーズは何か?】
研修ニーズ=(構成員に期待される能力)―(構成員の現在の能力)


・誰からの期待に応えるべきか?=大学の顧客は誰か?
・FDとFD以外の線引き(FDにできること、できないことの区別
(それは、人事評価、組織改革、社会の改革で満たすべきニーズではないか?)


●ニーズ把握の方法
【実際に誰のニーズを聞き取るか?】
①学生
→学生、卒業予定者(卒業直前の4回生)、卒業生(卒後10年目程度)
②教員
→当該部局の教員、管理職
※ニーズ把握段階から教員を巻き込むことで、FD実施時の抵抗感を低減させる効果がある

③学部外の教員
→他部局の教員、大学教育センター等の教員、他大学の同学部教員

④学外者
→卒業生を受け入れている企業・行政等の職場関係者、学生を送り出している高校・予備校関係者


●ニーズ把握
[STEP①]
貴学部の学生・大学院生を見て、不足していると思う知識・態度・能力(学生の課題)を書き出す

[STEP②]
皆さんが自分自身、あるいは同僚を見て、貴学部の教員に不足していると思う知識・態度・能力(教員の課題)を書き出す

[STEP③]
学外者(企業、高校等)が貴学部教員・貴学部生に期待する知識・態度・能力を書き出す

[STEP④]
・具体的になっているか?
×「教育力がない」
○「授業で板書を上手に書く能力」

・学生ニーズ①、その他のユーザーの期待③は、教育する側②の課題に変換されているか?
①読解力の不足
②授業力を育成する教育プログラムの開発力
②読解力を育成する授業実践力


[STEP⑤]
KJ法でグループ分けする

[STEP⑥]
①重要度、②責任度(当該部局の教員がすべきかどうか)の2軸で分類する(優先順位付け)

[STEP⑦]
まとまり毎に見出しをうける
(例)キャリア教育力、チームワーク力、課題発見力の育成力・・・など


●授業評価アンケートの特徴
【授業評価アンケート=精度の荒い顧客満足度調査】

◆たかが授業評価アンケート
・学生が真剣に記述していない可能性
・極端な意見は上下とも切り捨てる必要あり
・出世奇数が低い学生の意見の扱いをどうするか
・高満足殿授業=高質の授業内容、教員の高い授業力
・科目内容・クラス規模・職位による傾向あり
・授業改善途中で満足度が低下する場合あり
◆されど授業評価アンケート
・多くの学生が不満を持つ授業=問題がある可能性が高い
・総じて言うと、学生による評価結果は妥当(先行研究)
・アンケート以外に、効率的で、信頼性のある手法はない。


●効果的な授業評価のコツ

【意味のあるデータを集める】

①質問項目を工夫する。
・本当に知りたいことは何か?=いったい教室では何が起こっているのか?
・学生の学習は促されているのかどうか?

②実施方法を工夫する
・時間をしっかり(最低10分間)とる(授業終了前の5分前はNG)
・学期の中間に実施することで、学生の回答動機を高める
・中間テスト、期末テストとセットで行う。たいがい早めに終了するので、終了後の落ち着いた時間に記述させる。
・公正な手段で行う。


≪授業参観の特徴≫
【授業参観=複数の視点による授業分析】
●公開授業(同僚による授業参観+研究会)を推奨しない理由

(1)公開授業のルーツである初等中等教育と大学教育の違い
①初頭中等教育における授業研究:コンテンツの共有あり
②学会での研究発表:改善動機が高く、強い自信(批評慣れ)
③大学授業:コンテンツの共有なし、必ずしも改善動機が高いわけではなく、自信がない場合も多い(批評に不慣れ)

(2)授業改善はデリケートであり、配慮ある個別対応、継続的な関与がない場合は逆効果(誰が責任を持って担当するか?同僚の限界)

(3)授業評価が元来高い人にとってのメリットは少ない

(4)求められる強い共同体意識=同僚性が存在しているか?
※それでもやるのであれば徹底的にやりましょう!

●Teaching Square/Teaching Triangle
・4人、3人で相互に授業参観を行い、長期間に渡って相互に改善のための提案をし続けていく制度。

●Focused peer observation
・授業公開をする教員が、参観者に事前に注目してほしいポイントを絞り込んで伝える。
・参観者は、ポイントのみについてコメントを行う。

●Team Teaching
・複数教員が指導計画の作成、授業の実施、評価などに協力してあたること。


●研修技法の選定
【研修技法
①講義法
②パネル・ディスカッション
③シンポジウム
④ワークショップ
⑤公開授業と事後検討会
⑥マイクロ・ティーチング
⑦MM法

【Midterm feedback】
「評価軸」
・あなたの学習意欲を高めた教員の言動
・あなたの学習意欲を低下させた教員の言動
「対応」
・現状維持、変更する、変更不可能

※4,5回目くらいの20分を使う

【コンサルタントがいない場合】
・同僚が行う
・TAが行う
・職員が行う
・1人で行う



●研修の効果
【研修の4f段階評価】
[レベル1] 反応(Reaction)
→受講者は、研修の内容や構成に満足したか?

[レベル2] 技能の習得(Learning)
→受講生は教わった技能を修得できたか?

[レベル3] 行動変容(Behavior)
→受講者の日常の行動はねらいどおりに変化しているか?

[レベル4] 成果(Result)
→受講者の変化によって、どのような成果がもたらされたか?


●ポスターセッション

●振り返り
①研修を過ごして学んだことは?
②職場に戻ってどう活用するか?

                                                              • -

その後、木曜日は、職場に戻り、残務作業。

合宿は1泊2日であったわけですが、
なんだか数ヶ月職場に出ていなかったかのごとく不思議な感覚でした。
いずれにしても貴重な経験ができました。

ホスピタリティあふれる対応をしてくださった事務職員の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。お疲れ様でした。




【先日の一手】

政権交代 この国を変える

政権交代 この国を変える

政権交代論 (岩波新書)

政権交代論 (岩波新書)

池上彰の政権交代がわかる!

池上彰の政権交代がわかる!

政権交代

政権交代

政権交代の内幕 (Voice select)

政権交代の内幕 (Voice select)

一連の政権交代関係。
読み込んで早く暗黙知化しなければなりません。