【書評】荒井英治郎「鮎川潤『少年非行』」『月刊高校教育』2014年12月号,学事出版
http://www.gakuji.co.jp/magazine/highschool/main.html
『月刊高校教育』(学事出版)誌上に、書評を執筆させていただきました。
「この国のかたち」の輪郭を描く法律の改正が相次いでいますが、「日本社会の民主化」の象徴として憲法と共に制定された「少年法」も例外ではなく、2000年以降すでに4回の改正がなされ、一般に「厳罰化」と評されることが多いです。
少年審判で重視される価値が、少年の「将来」(再非行の可能性を考慮した要保護性)から「過去の行為」(行った行為の重大性)へ、行為者主義から行為主義へと転換し、司法的機能(行為への処罰・制裁)と教育・福祉的機能(要保護性に基づく非行からの立ち直り)が合流する少年審判が現在重大な岐路に立っていることは言うまでもありません。
本書は、「逸脱行動論」の観点から、非行少年に対して社会統制機関がいかなる機能を果たしているのか、非行少年の処遇論を論じたものになっていまして、地域差を考慮した事例紹介や統計データの解説を通じて、社会環境の変化(情報化・国際化の進展、家族・雇用の流動化)に伴って、社会の「眼差し」や処遇の在り方の変化が鮮やかに描き出されています。
ご関心のある方は、著書と共にご一読ください。