信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【論文】荒井英治郎「教育・福祉改革と制度設計の指針」末松裕基編『教育経営論』学文社,2017年,23-42頁。

【論文】荒井英治郎「教育・福祉改革と制度設計の指針」末松裕基編『教育経営論』学文社,2017年,23-42頁。

 

ご報告が遅くなりましたが、末松裕基先生が編者をされた『教育経営論』(学文社)に「教育・福祉改革と制度設計の指針」というタイトルで論文を執筆させていただきました。
http://www.gakubunsha.com/book/b313311.html


 本稿では、「再帰的近代」という時代を背景としながら教育・福祉分野の制度設計の指針を論じました。大きく分けて4つのセクションに分けて執筆をしまして、①民主党から自民党への政権交代に着目しながら、政権交代に伴う政策理念の転換を概括し、②制度のあり方を規定する政策理念が、政策対象の範囲と方法においてどのように政策選択の幅を拡大・縮小させるかを論じ、③公共性の実現を志向する4つの社会構想モデルに着目し、モデルの特徴と相互関係を論じ、④公共哲学を2つの指標(政治的自由度と経済的自由度)に基づき類型化し、政策案に対する姿勢とその根拠を論じました。
 個別具体的な政策がいかなる政策理念に基づくものであるのか、そして、その政策はいかなる社会構想や公共哲学と親和的な関係にあるのかを理解することに少しでも役立てばと思っております。


以下は、「目次」です。
私の論文はともかく、当該本には魅力的な論文ばかり掲載されていますので、ご関心のある方は、ご一読ください。


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まえがき

第1章 現代教育経営学の理論的課題(末松 裕基)
―理論的混迷の救済,または学説史の再生成へ―
第1節 問題意識――現代の教育経営学の課題  
第2節 教育経営学の知識産出の環境変動  
第3節 知識産出の前提と課題――教育経営論の生成に向けて:学説史の救済,蘇生 

第2章 現代の教育経営政策と法を読み解く(大野 裕己)
 はじめに  
 第1節 現代の教育改革の「主体」と改革の目的の輻輳性  
第2節 現代の教育改革と教育経営・学校経営の法の変化  
第3節 現代の教育改革・教育経営政策へのまなざしと問題群  

第3章 教育・福祉改革と制度設計の指針(荒井 英治郎)
はじめに ―─「再帰的近代」における教育・福祉改革  
第1節 政権交代と政策理念の転換  
第2節 政策理念と対象・方法  
第3節 社会構想の概念モデルと公共性の実現  
第4節 公共哲学と政策類型  
おわりに  

第4章 〈学校と地域〉の関係を問い直すための予備的考察(山下 晃一)
はじめに  
第1節 本章の課題  
第2節 従来の〈学校と地域〉をめぐる発想の反省  
第3節 〈学校と地域〉をめぐる発想転換の基点  
第4節 〈学校と地域〉の関係をめぐる議論の再出発  
第5節 戦後教育の遺産に学び直す――むすびにかえて  

第5章 学校づくりの組織論(織田 泰幸)
はじめに――寓話:盲目の男たちと象  
第1節 「盲目の男たちと象」の教訓  
第2節 教育経営の研究からみた「学校づくり」  
第3節 「学校づくり」を理解するための理論的枠組み  
第4節 理論を踏まえた「学校づくり」の可能性と課題  

第6章 戦略クラフティングの発想に基づくスクールリーダー教育に向けて(山本 遼)
第1節 ヒーロー型リーダーに替わるリーダーとは  
第2節 戦略プランニングの発想に基づくマネジメント教育の特徴とその問題点  
第3節 ミンツバーグの戦略クラフティングの発想に基づくマネジメント教育論  
第4節 組織開発を通じてマネジメント能力を高める  
第5節 戦略クラフティングの発想に基づくスクールリーダー教育に向けて  

第7章 これからの教育経営におけるリーダーシップ論(篠原 岳司)
はじめに  
第1節 わが国の教育経営におけるリーダーシップ研究の理論的課題  
第2節 分散型リーダーシップの理論的特質  
第3節 今日の教育経営における分散型リーダーシップ論の意義と課題  
おわりに――これからの教育経営論の学問的発展にむけて  

第8章 教育経営の歴史的教訓―評価の観点から―(雪丸 武彦)
はじめに  
第1節 教育経営と評価の設計の問題  
第2節 教育測定運動と学校調査  
第3節 戦後における学校評価  
おわりに――教訓  

第9章 教育経営と地域行政―地域社会の問題とその解決・主権―(辻村 貴洋)
はじめに  
第1節 本章の課題――経営と地方自治のプロセス  
第2節 教育をめぐる政治と行政・経営  
第3節 地域社会の問題と学校教育  
第4節 教育を経営するとは  
第5節 教育経営へのアイデア  
おわりに――教育に固有の経営実践の追究と発信  

第10章 教育経営を社会思想・哲学から読みなおす(生澤 繁樹)
─学校経営の責任と罪とデモクラシー─
はじめに  
第1節 社会思想・哲学と学校経営の責任
──「いかにして」から「なぜか」の問いへと向かうこと  
第2節 「効率化の科学」と「新しい社会秩序」のあいだで
──教育の目的と社会のあり方への応答はあるか?  
第3節 デモクラシーと専門性のジレンマ
──教育経営に参加するのは「誰」なのか?  
第4節 学校経営の「責任」と「判断」
──個人への帰責モデルと回避される応答責任  
第5節 学校経営と「政治的責任」の描き方  
おわりに  


コラム
過ちでしか知れない真実がある  
現代の教育経営・学校経営に関する法を読み解く  
ミニマム論とオプティマム論─「独自性」と「格差」のあいだ  
社会変化と教育経営理論―大学講義の経験から  
学校をメタファーで理解する  
マネジメント教育の三世代論  
教師の主体性を奪う教育の標準化・画一化の問題  
不思議な評価  
子どもの相対的貧困と支援策  
参加による学校づくりはデモクラティック・リアリズムに対抗できるか?  
「自律性」があるから「責任」を負うのか?  

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教育経営論 (教師のための教育学シリーズ)

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