信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

風まかせ

松本は、あいかわらず天気がいいのですが、風がものすごく強いのが気になるところであります。クーラーがありませんので、窓を開けたいところですが、大量の書類が心配・・・。


今朝は、附属図書館に行き、80年代の雑誌を漁る。
早速複写をしまして、明日読みたいと思っています。


午後は集中講義の準備に着手しまして、1合目まで進めました。
まだまだ先は長いです。

一つモチベーションがあがったことは、
以前から継続して行っている研究会の松本での合宿開催が決定したことです。9月の中下旬の1泊2日です。
これは「ホーム」ということで、できるかぎりのおもてなしをできればと思っています。






【本日の一手】
『自治総研』第369号,2009年7月号。

※送っていただきました。
通読しましたが、冒頭の「地方自治への視点」にあります
辻山幸宣「自治事務への強制的是正制度の意味」は大変興味深く読ませてもらいました。次号も楽しみにしています。




基礎学力を問う―21世紀日本の教育への展望

基礎学力を問う―21世紀日本の教育への展望


空き時間を使って、本書の一部分を読む。
特に今回読んだものは、

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第5章 小川正人「学力政策を支える教師の労働実態と課題」

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本章は、「教員勤務実態調査」を踏まえて教員勤務の特徴的な問題を明らかにしながら、その問題の基本的な原因と改善に向けた政策上の課題」(132頁)を提起したものとなっています。

本章では、「教員勤務実態調査」の結果からいくつかピックアップしており、冒頭において小中学校で異なる教員の超過勤務について次のようにまとめています(134頁)。

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①平日における学校での平均残業時間は、中学校の方が小学校より30分程度長くなっているが、その主な内訳は部活動や学校行事等である。

②平日における自宅への平均持ち帰り時間では、小学校の方が14分程度長くなっているが、その主な内訳は授業準備や成績処理等でえある。

③週休日における学校出勤での平均残業時間と自宅での平均持ち帰り時間でも、小学校と中学校では大きな違いがある。小学校では、学校出勤の残業よりも自宅での残業時間が圧倒的に多いのに対して、中学校では、学校出勤の残業と共に自宅での残業も同程度に多い。そうした違いが生じるのは、中学校における部活動の存在に理由がある。

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上記のような点を踏まえて、筆者は、「小・中学校共に、管理・経営業務に専念できる教職員の配置・充実や外部・他職種に委託可能な業務の検討、学校や教育委員会等による業務の合理化・効率化の試みをすることは当然であるが、小学校では授業や児童の直接的指導業務の負担軽減を図る方策(教科担任制の導入や専科教員の充実、少人数学級、給食指導からの開放や負担権限、校務の効率化・IT化、教材研究の効率化・改善、等)、中学校では部活動のあり方を検討することが不可避であるように思う」としています(136頁)。

そして、今回スポットが当てられた「部活動」については、
「部活動の技術的指導者として外部委嘱を更に充実させることと共に、対外試合の引率業務や週休日の活動における顧問教員の過重な負担を軽減させるためには、代休等の勤務軽減措置を確実に行える体制整備の他にそれら業務に責任を負える職員を学校に配置する等も考えてよいだろう」(144-5頁)との提言がなされています。


「教員勤務実態調査」は従来前提とされてきた、自明視されてきたことを実証的に裏付けた点でとても意義深いものであると思います。こうした事実から改善策に結び付けていくためには最終的には「政治」の問題にならざるを得ません。政策決定者の良識が問われてくることになると思います。