信州大学 教育基盤構築センター 荒井英治郎研究室

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【連載】荒井英治郎「政策トレンド22(連載「働き方改革を『アンラーン』する 第35回)」『内外教育』第7303号,2026年2月3日,11-13頁  

【連載】荒井英治郎「政策トレンド22(連載「働き方改革を『アンラーン』する 第35回)」『内外教育』第7303号,2026年2月3日,11-13頁
 

時事通信社の『内外教育』誌上で、「働き方改革を『アンラーン』 する」と題した連載をさせていただいております。
 

https://edu-naigai.jiji.com/article/category/4
 

第35回のテーマは、前回に引き続いての「政策トレンド22」 として、標準的職務の明確化について概括しました。


https://edu-naigai.jiji.com/article/2924

 

 2019年1月25日公表の中教審答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指 導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」では、働き方改革を推進していくためには「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」を確実に図ることが不可欠であり、文部科学省に対して「学校・教師が担うべき業務の範囲について、学校現場や地域、保護者等の間における共有のため、学校管理規則のモデル(学校や教師・事務職員等の標準職務の明確化)を周知」すべきと提言していました。

 

 これを踏まえて発出されたのが、通知「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理 規則参考例等の送付について」(2初初企第14号)と「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」(2初初企第15号)です。なお、のちに、通知「養護教諭及び栄養教諭の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則の参考例等の送付について」(5初健食第5号、23年7月5日)、「栄養教諭等による食に関する指導等の充実について」(7初健食第2号、25年4月30)も発出されていますので、ご参照ください。

 

 さて、上記の通知では、教諭等や事務職員の標準的職務の明確化を目的として、①小学校・中学校・義務教育学校の学校管理規則の参考例、②教諭等や事務職員の標準的な職務例、③その遂行に関する要綱の参考例─が示されました。上記の通知が示された背景には、教委が職務内容を定める際に各種参考例を「基礎資料」として活用し、また必要に応じて関係規定等を整備することで、教職員が専門性を発揮し本来の職務に集中できるような環境を整備してもら いたいという国の意図がありました。

 

 2つの通知では、①教委が関係規定等を整備する場合は、参考例の規定の仕方にかかわ らず、各教委の既存規定等との整合性を踏まえ、当該既存の規定等に応じた適切な形で対応すること、②標準的職務の明確化を図る際は各学校・地域の実情等を十分考慮すること③他の学校種や他の職の標準的職務を位置付ける場合は、学校種や職による職務の性質の違いも留意すること、④具体的な職務内容を定める場合は、学校規模、教諭等の配置数や経験年数、各学校・地域の実情等も十分考慮することとされました。

 

 また、標準的職務を学校管理規則等に適切に位置付ける際の留意点として、①「標準職務例」〈表〉は、校務の中で主として教諭等が担う職務の範囲を示したものであり、「一律に担うことを想定したものではない」こと、②当時中教審答申に示されていた「学校の業務であるものの必ずしも教諭等が担う必要のない業務」は、「教諭等の業務の縮減を推進する観点から、標準職務例には掲げていないこと」、③学校徴収金の徴収・管理に関する業務は、事務職員の標準的職務として位置付けていること、④校長は、外部人材等との分担・協働を図った職務の実施に努めること、⑤標準的職務の目的や目標を保護者や地域住民等と共有し、地域の理解と支援を得るよう十分努める必要があること、⑥学校運営について副校長・教頭とともに校長を補佐する役割が期待されている学校事務職員は、他の教職員との適切な業務の連携・分担の下、その専門性を生かして、積極的に参画すべき職務があること、⑦事務職員に過度に業務が集中することにならないよう、庶務事務システムの導入や共同学校事務室や共同実施の仕組みの活用等も含めて業務の効率化を進めるとともに、共同学校事務室等におけるOJTの実施による事務職員の育成及び資質の向上等、学校事務の更なる効果的な実施や事務体制の強化に努める必要があることなどが挙げられていました。

 

 「標準的職務の明確化」という政策動向には、保護者や地域住民等とその職務や目的・目標を共有することで理解と支援を得ていくという意図がありましたが、皆さんの勤務校では教職員の「仕事」の可視化と周知にどの程度取り組んできたでしょうか。

 

ご関心のある方はぜひご一読ください。

 

引き続きよろしくお願いします。