信州大学 教育基盤構築センター 荒井英治郎研究室

信州大学教育基盤構築センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。https://araieijiro.sakura.ne.jp/もご覧下さい。

【連載】荒井英治郎「政策トレンド21(連載「働き方改革を『アンラーン』する 第34回)」『内外教育』第7296号,2026年1月6日,10-11頁

【連載】荒井英治郎「政策トレンド21(連載「働き方改革を『アンラーン』する 第34回)」『内外教育』第7296号,2026年1月6日,10-11頁

 

時事通信社の『内外教育』誌上で、「働き方改革を『アンラーン』 する」と題した連載をさせていただいております。
 

https://edu-naigai.jiji.com/article/category/4
 

第34回のテーマは、前回に引き続いての「政策トレンド21」 として、変形労働時間制の運用について概括しました。


https://edu-naigai.jiji.com/publication/7296 


 給特法の改正に基づき公立学校の教職員に導入された1年単位の変形労働時間制。

 

 今回は、変形労働時間制を運用する際の留意事項を示した、通知「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法施行規則の制定及び『公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針』の改正等について」(2020年7月17日)の要点を概括しました。


 そこでは、制度の目的に関して、①長期休業期間等において休日を集中して確保しようとする場合に限り、活用すべきであること、②制度を単に活用すること自体が勤務時間を縮減するものではないこと、③他の施策を併せて講ずることにより、学期中及び長期休業期間等における業務量を確実に削減することが重要であることが示されましたが、制度の対象者の決定等に際しては、「校長が各教育職員と対話を行い個々の事情を斟酌し、必要に応じて文書等として記録に残すこと」が望ましく、具体的な運用方法の決定過程では、「教育委員会、校長及び教育職員が丁寧に話し合い、共通認識を持って本制度を活用すること」が重要であると示されています。すなわち、管理職と教職員との対話が不可欠であることや、職員団体の交渉の申し入れに適切に応ずべきことが改めて確認されているわけです。  また、制度運用の適切性を確保していくためには、①「指針」が求める教育職員の健康・福祉の確保を図る措置が講じられていることが制度活用の前提であること、②勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、人事委員会等が行うものであり、運用状況を人事委員会等と認識を共有し、専門的助言を求めるなど連携を図る必要があること、③地方公務員法に基づく人事委員会や公平委員会に対する措置要求や苦情の申し立てが可能であるため、各教委内に長時間勤務の是正やメンタルヘルス不調等の健康障害の防止のための窓口を設けることなどが示されていた点も注目すべき点です。


 これに対して、「1年単位」の変形労働時間制には、さまざまな批判が導入当初から展開されています。代表的なものとしては、同制度は教員の働き方を悪化させるだけでなく、労働基準法憲法に違反するという批判、制度導入の影響に関する懸念として、1日の労働時間のさらなる増加、「勤務の割り振り」の困難さの深刻化、「夏休み」の年休消化の困難さの深刻化、子育て・介護に対する弊害、教員同士の分断の進行などが挙げられます。


 制度運用の実態を踏まえて検証すべき論点は事欠きません。


教職員の皆さんにとって、同制度の存在感はどの程度あるでしょうか。


ご関心のある方はぜひご一読ください。

引き続きよろしくお願いします。