【大学連携ゼミ】今年度の「問いの問い方」ゼミ、終了。
長野県松本深志高等学校の高校1年生を対象に実施している大学連携ゼミ。
私は、「問いの問い方ゼミ」というゼミを開講したのですが、全3回のうち、最終回を本日無事に終えました。
ゼミでは、現代社会の変化(VUCA時代やライフシフト)、学びの変化(新しい学力観や探究的な学び)、そして自己の変化(キャリア・アンカーやモチベーション)という3テーマを中心に構成しつつ、特に、課題設定や情報収集、整理・分析、表現といった探究のプロセス、効果的なチームワークとコミュニケーションに必要な考え方や技法に焦点を当てました。
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1.ゼミの目的と概念
● 「問い」を中心にした探究的な学び
第1回:問いの問われ方(探究体験)
第2回:問いの問い方(課題設定・情報収集)
第3回:問いの育て方(整理・分析・表現・振り返り)
● キャリアデザインとの接続
・「やりたい(want)」「こうありたい(will)」「求められること(must)」を探る。
・生活・趣味・価値観・働き方・収入など、人生全体から問いを立てていく方法を紹介。
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2.社会の変化と学びの変化
d ● VUCA時代
予測困難、唯一の答えのない時代。
他者と協働し、納得解を探る力が必要。
PDCAに代わるOODA(観察→方向付け→決断→行動)で環境変化に対応。
● 人間とAIの違い
AI:与えられた目的の中で処理する
人間:目的そのものを生み出せる(感性・価値判断)
● マルチステージ化(ライフシフト)
「教育→仕事→引退」の単線構造が崩壊。
生涯にわたり学び直し(リカレント教育)が重要。
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3.探究的な学びの基礎
● 探究のプロセス(5段階)
1. 課題設定
2. 情報収集
3. 整理・分析
4. まとめ・表現
5. ふりかえり(リフレクション)
● 探究を通じて得られる力
情報収集力
問い発見力
連携力
論理的・批判的思考力
文章表現力
発信力
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4.「問い」をつくる技法
● テーマと問いの違い
テーマ:広い論題(例:地球温暖化)
問い:Yes/Noや因果が明確な問いへ絞る
● 問いのつくり方(5W1H+Yes/No)
● 「ギャップ」から発想する
時間(過去・未来の差)
空間(地域差)
違和感(理想との差・当たり前への疑問)
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5.情報収集の技法
● 資料の質を確かめるチェックリスト
1. 信頼性
2. 正確性
3. 客観性
4. 適時性
5. カバー範囲
● 一次資料・二次資料の違い
一次:統計、生の日記、裁判記録
二次:一次資料を基にした記事・論文
● アンケート・インタビュー調査の使い分け
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6.考察・分析の技法
● 薄い考察 vs 厚い考察
薄い:一般論・要約にとどまる
厚い:複数情報の統合、データと体験の結合
● コルブの経験学習モデル
1. 具体的経験
2. 省察
3. 抽象化(持論化)
4. 実践への応用
● 具体と抽象の往復
具体=現場・事例
抽象=原理・概念
往復することで理解が深まる
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7.チームで学ぶために必要なこと
● 信頼の4条件
1. 誠実性
2. 公開性
3. 有能性
4. 充実性(基本成果の積み上げ)
● 心理的安全性
発言が否定されない安心感
発言量が均等
感情の理解(感受性)
● 悪いチーム(機能不全)を生む5つの要因
1. 信頼の欠如
2. 対立回避
3. 責任感の不足
4. 責任回避
5. 結果への無関心
● 良いチーム(成功循環モデル)
関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質 → 関係の質の向上
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8.学びの心理学(フロー・モチベーション)
● 個人のフロー条件(5つ)
1. 明確な目標
2. 適切な難易度
3. 集中できる環境
4. 自己統制感
5. 迅速なフィードバック
● グループ・フローの条件(10項目)
深い傾聴
エゴを抑える
役割の平等
インフォーマルな会話
など
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9.バイアスに気づく視点
自分に都合のよい情報だけを集めていないか
少数事例を一般化していないか
目にした順で判断していないか(アンカリング)
聞き慣れたものを高く評価していないか(親近効果) など
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10.まとめ:ゼミ全体のメッセージ
自分の人生や価値観から「問い」を生み出すことが探究の核。
情報収集・分析・表現は「問い」から逆算して設計する。
他者と協働し、心理的安全性のある場をつくることが深い学びを生む。
探究はキャリア形成とも直結し、「自分で選び変え続ける力」を育てる営み。
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「伸び代」しかない高校生、さらなる活躍の場づくりを共に進めていきたいです。
貴重な機会をありがとうございました。