荒井英治郎編『教育政策オーラル・ヒストリー 長谷川正明(元文部省生涯学習局長)』信州大学学術研究院総合人間科学系,2025年3月,全241頁
戦後教育政策は、いかなる課題認識を軸としながら課題設定され、いかなる過程を経て政策形成や政策決定がなされていったのか。 本報告書『教育政策オーラル・ヒストリー 長谷川正明(元文部省生涯学習局長)』」は、「オーラル・ヒストリー」の手法を用いて、教育政策過程の一端を再構成したものです。
「オーラル・ヒストリー」とは、不可視である当事者の「記憶」を可視化された「記録」へと変換し、歴史的文脈に位置付けていく方法論です。この「記憶の記録化」を通じて、当事者の認識構造を把握し、仮説を発見・生成・構築していくための資源を提供することが期待されています。
長谷川正明氏は、1943年に東京都練馬区で生まれ、東京大学教育学部卒業後、1968 年に文部省に入省しています(社会教育局視聴覚教育課配属)。
入省後は、管理局振興課法規課、管理局振興課法人係長、大学学術局国際学術課国際学術第1係長、外務省文化事業部文化第2課外務事務官、文化第1課外務事務官、千葉県教育委員会文化課長、文部省学術国際局学術課課長補佐、ユネスコ国際部企画連絡課専門員(英国Science Research Council)、文部省学術国際局学術課課長補佐、留学生課課長補佐、留学生交流計画官、研究助成課研究協力室長、文化庁文化部宗務課長、芸術課長、放送大学学園総務部長、文部省高等教育局私学部私学行政課長、学術国際局学術課長、大臣官房人事課長、大臣官房審議官(学術国際局担当)、東京大学事務局長、文部省生涯学習局長を歴任しています。
同氏の文部省キャリアの特徴は「学術行政畑」を歩んでこられた点にあります。ライフヒストリーやキャリア全体の話もお伺いしたい旨を申し出たところ、快諾いただき、「教育政策オーラル・ヒストリー」として公表する運びとなりました。
令和4年9月から令和6年4月に至るまで、合計20回にもわたってヒアリングをさせていただきました。
なお、本報告書は、荒井英治郎を研究代表者とする日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(C)「民主党政権下の政治主導改革が「普遍主義」に基づく教育政策に与えた影響に関する研究」の成果の一部です。
当該研究は2010年代の民主党政権時代の分析を主とするものであるが、政策過程の変容を射程に収めるべく、戦後教育政策、とりわけ学術行政の観点から政策過程の態様の一端を描くものです。
わずかではありますが、まだ残部がありますので、ご関心がおありの方はご連絡ください。