【連載】「政策トレンド⑨(連載「働き方改革を『アンラーン』する 第22回)」『内外教育』第7216号,2025年1月7日,12-13頁。
時事通信社の『内外教育』誌上で、「働き方改革を『アンラーン』する」と題した連載をさせていただいております。
第22回のテーマは、前回に引き続いての「政策トレンド⑨」です。
今回は「教育再生実行会議」の提言に着目しました。
政治主導を謳うたった民主党政権は、事前審査制や事務次官等会議を当初廃止し、政務三役主導の政策決定を重視する姿勢を示した一方で、「ガバメントからガバナンスへ」というスローガンの下で「熟議カケアイ」を開設するなど、政策形成の「見える化」を試みました。当事者による熟慮と討議を通じた「熟議」の成果は政策決定時の材料にすると説明され、新たな政策形成・決定の在り方を模索したのです。他方、10年の参院選以降の国政状況は、政権運営全般に対する失望感が広がり、結果として改革機運は急速に消沈しました。
その後、自民党政権となり、経済再生と並ぶ日本再生の最重要課題として位置付けられたのが、「教育再生」です。そこでは、総裁直属の教育再生実行本部、首相直属の教育再生実行会議、文部科学相の諮問機関である中央教育審議会の関係が論点の一つとなり、政策決定の在り方も変化するのか、注目が高まりました。教育再生実行会議は、時の教育課題に特化して集中的に政策形成の主軸を担う場となり、「荒削り」とも指摘されることがあった教育再生実行本部の諸提言をブラッシュアップしていく役割を担っていました。
同会議が2017年6月1日に公表した第十次提言「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上」の中で、学校における働き方改革に関連する内容として注目すべきは、⒈の⑶「学校の教育力の向上のための教師の働き方改革」の箇所です。政治部門でも行政部門でも学校における働き方改革は「待ったなし」の状況であるという認識が共有されていったのです。
ご関心のある方は、ぜひご笑覧下さい。
引き続きよろしくお願いします。