信州大学 教育基盤構築センター 荒井英治郎研究室

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【論文】「「18歳成年」時代の名宛人と責任の所在」伊藤良高監修・森本誠司・竹下徹・永野典詞編『教育と福祉の展望』晃洋書房,2024年

【論文】「「18歳成年」時代の名宛人と責任の所在」伊藤良高監修・森本誠司・竹下徹・永野典詞編『教育と福祉の展望』晃洋書房,2024年

 

 このたび、伊藤良高監修・森本誠司・竹下徹・永野典詞編の『教育と福祉の展望』に、「「18歳成年」時代の名宛人と責任の所在」と題した論文を執筆する機会を得ました。

 2016年の改正公職選挙法に伴う「18歳選挙権」の実現に続く形で、2018年の民法の一部を改正する法律の成立を経て、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるに至りました。私人間関係の規律法令である民法の成年年齢引き下げをめぐっては、2007年の日本国憲法の改正手続に関する法律の制定を契機として議論が本格化、我が国で初めて私法上の成年年齢が定められた1876年の太政官布告第41号の制定以来、約140年ぶりの大改正となっています。「18歳成年時代」の幕開けです。
 我が国では、18歳以上の若者を「一人前の大人」として扱うことで将来の国づくりの中核に据えていくという国政上の判断がなされ、憲法改正国民投票投票権公職選挙法の選挙権等の参政権を付与することで、若者の積極的な社会参加を促す機運が高められてきました。今次の成年年齢引き下げも、市民生活の基本法たる民法における経済取引上の主体性・独立性を確保していくこと、具体的には、自らが就労して得た金銭等を自らの判断で使うなど、単独での契約締結を容認していくことで、若者の自己決定権を尊重していくという意味では、積極的な社会参加を通じて活力ある社会を構築していこうとする政策動向と軌を一にするものであると理解できます。これに対して、大人の若者に対する「期待」と、若者の社会に対する「不安」が交錯しているのが、現状かと思います。
 本論文では、(1)成年年齢引き下げの意味、(2)成年年齢引き下げのインパクトなど、制度変更の内容と論点(消費者被害に関する論点、教育現場での対応に関する論点、若者の自立支援に関する論点、養育費の支払期間に関する論点、第5は、少年法改正に伴う「特定少年」に関する論点、成人式のあり方に関する論点を概括し、今後の課題と展望を論じました。

ご関心のある方は手に取ってみていただけたら幸いです。

https://www.koyoshobo.co.jp/book/b645537.html

以下、目次となります。
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目次

序 章 保育経営研究の視点と課題
 は じ め に
    1 保育経営研究の意義
    2 保育経営研究の視点
    3 保育経営研究の課題
    お わ り に ―「保育経営学」の構築を目指して―

第1章 「校則の見直し」の動向 ―熊本市立中学校の取り組み―
 は じ め に
    1 熊本市の「校則見直し」の動向
    2 熊本市の中学校校則の見直しの実態
    お わ り に

   第2章 学校教育の「本質的な脱地域性」 ―非大都市圏における人材輩出の視点―
 は じ め に
    1 教育の「本質的な脱地域性」の構図
    2 教育の「本質的な脱地域性」と教育格差
    3 教育の「本質的な脱地域性」を乗りこえる方策
    お わ り に

   第3章 「18 歳成年時代」の名宛人と責任の所在
 は じ め に―「18歳成年時代」の幕開け―
    1 「18歳成年時代」のインパク
    2 成年年齢引き下げの論点
    お わ り に―「18歳成年」の名宛人―

第4章 「公教育像」と教育権能 ―日本国憲法の射程と「自由」―
 は じ め に
    1 教師の教育の自由の憲法上の根拠をめぐる論争
    2 「主権者教育権」理論と憲法価値教育
    3 日本国憲法とその公教育像
     お わ り に

   第5章 特別支援教育コーディネーターの活動―保育現場の課題と限界―
 は じ め に
    1 特別支援教育コーディネーターに関するこれまでの研究
    2 発案・創設~膠着期
    3 特別支援教育コーディネーターのあり方
    お わ り に

   第6章 相談のしやすさを重視した保育所子育て支援
 は じ め に―問題の所在―
 1 保護者の相談行動に関する調査
    2 保護者の相談行動について
    3 相談アクセスを促す保育所の相談体制
    お わ り に

   第7章 「子育て支援」における保育者養成の現状と課題
 は じ め に
    1 保育士に求められる子育て支援
    2 保育所保育指針にみる保育士に求められる子育て支援
    3 保育者養成の子育て支援科目の変遷と課題
    お わ り に

   第8章 児童虐待とその対応
 は じ め に
     1 児童虐待の現状
    2 児童虐待の対応
    3 児童虐待防止対策と今後の課題
    お わ り に

   第9章 食育を通して行う保護者支援
 は じ め に 
   1 食 育 
   2 保育の中の食育
    3 保育所における食育事例
    お わ り に

   第 10 章 地域療育現場と保護者支援―保育士の当事者性と共有される経験と記録―
 は じ め に 
   1 障害児通所型の地域集団療育事業の記録の分析
    2 療育事業に携わる保育士の今後の役割
     お わ り に

   第 11 章 送迎場面における保護者の保育参加と子育て支援―小規模保育の特性を活か
した協同的な子育ての場の構築をめざして―
 は じ め に
    1 協同的な送迎場面の構築に向けた取り組み―アクションリサーチ・質問紙調査から―
 2 協同的な送迎場面の構築に向けて―調査のまとめ―
 3 保育者と保護者双方による協同的な送迎場面の可能性
    お わ り に

   第 12 章 保育ソーシャルワークの現状と課題―保育士養成カリキュラムの変遷と保育所
保育指針からの考察―
 1 保育士の誕生と専門性
    2 保育士養成課程におけるソーシャルワークの位置付け
    3 保育ソーシャルワークを担うべき者

   第 13 章 生活理解の方法としての「食卓」から子育て支援への 展開―保育ソーシャルワ
ークの試み―
 は じ め に
    1 子育て支援における家庭での食事場面への着目
    2 食事場面を用いた保育所における子育て支援の実践にむけて
    3 食事場面に関する保護者へのインタビュー調査
    4 食事場面を用いた子育て支援の有用性
    お わ り に

  第 14 章 子どもの居場所の必要性と取り組み―地域における子どもの権利保障に向けて―
 は じ め に
    1 子どもの居場所の位置づけと取り組みに至る背景と展開
    2 地域での子どもの居場所の種類
     3 今後の子どもの居場所の可能性と展望 
   お わ り に

   第 15 章 Highly Sensitive Child への支援
   は じ め に
    1 敏感性の高い子ども―Highly Sensitive Child とは―
 2 Highly Sensitive Child をめぐる現状―国内文献を中心に―
 3 乳幼児期の Highly Sensitive Child 支援の課題
    お わ り に

   第 16 章 幼児の主体性尊重と保育施設の安全環境
 は じ め に
    1 『幼稚園教育要領』等にみる子どもの主体性の尊重
    2 保育現場の事故事例から
    3 事故防止と事後対応
     お わ り に

   第 17 章 日本における保育者養成倫理の課題
 は じ め に 
   1 専門職の価値、倫理、倫理綱領―基本的な概念―
 2 アメリカにおける保育者養成倫理綱領
    3 日本における保育者養成倫理綱領
    お わ り に―今後の課題―

第 18 章 インクルーシブ保育における保育士と作業療法士との協働・協創の可能性
 は じ め に
    1 保育士と作業療法士の協働の意義
    2 保育士と作業療法士との協創の可能性
    お わ り に
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