信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

【書評】荒井英治郎「井深雄二『戦後日本の教育学ー史的唯物論と教育科学』」日本教育制度学会『教育制度学研究』第24号,東信堂,202-208頁。

【書評】荒井英治郎「井深雄二『戦後日本の教育学ー史的唯物論と教育科学』」日本教育制度学会『教育制度学研究』第24号,東信堂,202-208頁。


日本教育制度学会の学会誌『教育制度学研究』第24号に、

 

井深雄二『戦後日本の教育学ー史的唯物論と教育科学』勁草書房,2016年

 

の書評を書かせていただきました。

 


教育現象の法則的把握(生成・発展・消滅過程の合理的把握)に注力してきた最も代表的理論として、史的唯物論を挙げることに異論はないかと思いますが、本書は、戦後日本の教育学における諸学説の展開をカール・マルクス史的唯物論を参照軸としながら分析したものです。本書の前半では、概念装置たる史的唯物論のエッセンスを概括した上で1950年以降の教育科学論争(史的唯物論と教育学をめぐる方法論争)が検討され、後半では現代教育政策のイデオロギー分析が行われています。


序章 史的唯物論と教育科学
第Ⅰ部 戦後日本の教育科学論争
 第1章 戦後初期の教育科学論
 第2章 教育科学論争の諸前提
 第3章 「教育構造論争」の分析
第Ⅱ部 教育科学論の展開
 第4章 人間形成の物質的基礎
 第5章 阿部重孝の学校制度論
 第6章 教育改革と教育科学
 第7章 現代日本における教育政策分析の課題と方法
あとがき

 

書評では、「読後感」を大切にしつつ、筆者に率直に問いたい点として、
①「土台—上部構造」論の現代的意義に関して、②教育学研究、とりわけ「現代教育政策」に対する史的唯物論の方法論的意義に関して、③「教育史学」を代表とする近年の日本の教育史研究の動向に関して、コメントさせていただきました。

 

ぜひご一読ください。

 

 

戦後日本の教育学: 史的唯物論と教育科学

戦後日本の教育学: 史的唯物論と教育科学

 

 

 

教育制度学研究〈24〉

教育制度学研究〈24〉