【書評】荒井英治郎「広田照幸『教育は何をなすべきか―能力・職業・市民』」『月刊高校教育』2015年6月号,学事出版

 

『月刊高校教育』(学事出版)に、書評を執筆させていただきました。

 
自由、平等、正義、公正、効率、選択、多様性など、教育制度の構成原理にいかなる価値を中核に位置付けるか、現在重要な岐路に立っています。

 

言わずもがな、本書の著者は、『教育には何ができないか』(春秋社、2003年)という刺激的なタイトルで、教育が「できること」と「できないこと」、教育にできることの中で「してよいこと」と「すべきでないこと」の区別の重要性を指摘し、改革論議の前提を問う他ことは有名です。

そして次に筆者が挑んだのが『教育は何をなすべきか』です。

 

本書が向き合う「問い」は、改革論議で前提視され不問とされながらも、実は制度を構想する上で急所となるものばかりです。

 

例えば、

 

①教育の名の下で強いる自由の制約は、結果として実質的自由を子どもにもたらすのか、

 

②個人の能力を適切・正確に測ることは可能か、能力を基準とする進路の分化・選抜は公正か、

 

③就学初期の子どもの業績格差は果たして「生まれつき」の資質・能力の差か、

 

④「よい仕事と安定した生活を約束する」だけの教育システムは成功か、

 

⑤ボランティア学習は善か

 

などです。

 

いずれも出生環境(家庭・地域)に左右されずにどのように全ての子どもたちに対して卓越した教育に平等にアクセスし得ることを制度的に保障できるか、教育の自由・平等・正義・民主主義と関わる原理的な問いです。
 

ご関心のある方は、著書と共にご一読ください。