信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

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【論文】荒井英治郎(2014)「外国研究者による日本の教育政策研究ー政策史から政策論へ」『日本教育政策学会年報』第21号

荒井英治郎(2014)「外国研究者による日本の教育政策研究ー政策史から政策論へ」『日本教育政策学会年報』第21号


日本教育政策学会年報第21号の特集論文に、上記の論文を執筆させていただきました。

当該論文は「外国の教育政策研究動向」のセクションに位置づくものですが、
外国を対象とした教育政策研究動向ではなく、
外国研究者による日本を対象とした教育政策研究のレビューを行いました。

具体的には、
①機能的・内在的要因(変数)と構造的要因(変数)の組み合わせから、高等教育の政策形成の類型化を試みたペンペル(T.J.Pempel)の研究
②70-80年代の中等教育を対象に、政策をめぐる対立・紛争の程度と政策過程に関与・登場するアクターの性格に応じた政策過程のパターンを析出したショッパ(L.J.Schoppa)の研究
③、約150人を対象としたインタビュー調査で得られた知見を活用しながら、伝統的な教育政治と構造改革型の教育政治の比較を通じて現代教育政策の諸相を分析したのが、ニッタ(K.A.Nitta)の研究
の3つを概括しました。

「ペンペルから、ショッパを経て、ニッタへ」といったトレンドです。

 

ニッタは、loose-tightの枠組とは裏腹に、日米の学校関係者はtight-tightの状況に直面していることを指摘していますが、
日本における教育改革も、権限とガバナンスの改革を行うことを謳う一方で、
説明責任・結果責任を強調し、結果として伝統的な改革対象に位置づくカリキュラムや教授方法の改善をも教育現場に強いるロジックを採用しているように見えます。
政策効果の検証も不十分なまま、(行政責任回避の一つの戦略としても)先進諸国で先行実施されている政策アイディアが相互参照・政策模倣されることで、
結果として、政策収斂していく様相が顕著となっている点に注目すべきだと思っています。

 

ご関心のある方はご一読ください。