信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

メンタルヘルス講習会

今日は息子の睡眠のペースが比較的私のレム・ノンレム睡眠のペースと合致したこともあり、午前8時過ぎに出勤。


午前中は、
とある学会の編集幹事としての仕事に着手し、なんとか軌道に乗ってきました。
また月曜日・火曜日に行われた「教育思想論」の成績の入力を行い、それと9月中に信大で開催されるSAT研の下準備というか運営のもろもろを手配。
さらには、10月上旬に部主催で開催する食事会のセッティング。
そのほか、図書館に大量に借りていた本を返却。




午後は、メンタルヘルス講習会に参加。

テーマは、「薬物と乱用・依存・中毒」です。
松本市いあるかとうメンタルクリニックの加藤信先生が説明してくださった内容をメモしたものが下記の通りです。

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○薬物依存とは何か
元来は、薬をやめたときに「禁断症状」が出るような生体の状態の意味(身体依存)

身体依存とは、薬物の作用に生体が適応し(組織耐性)、薬物が作用しているほうが正常に近く機能している状態



アディクションと習慣
WHO(1956)
薬物に対してきわめて強い欲求があり、身体依存を伴なう状態を「アディクション」、
薬物に対して強い欲求はあるが身体依存を伴なわない状態を「習慣」と呼んだ。




アディクション・習慣の問題
身体依存性の有無によって法的規制の基準としたため、コカインのように、
きわめて強い欲求を生じさせる薬物でありながら、身体依存性がない、
すなわちクスリをやめても禁断症状が現れない薬物の法的な扱いに困った。



○精神依存概念の成立
WHO(1964)
それまで身体依存に限られていた薬物依存の概念を拡大して、
薬物に対する脅迫的欲求を示す状態を「精神依存」とよび、
精神依存させあれば「薬物依存」と呼ぶようにした。
そして薬物依存をいくつかの型にわけた。



モルヒネ
・サルで自発摂取(強化効果)あり
・きわめて強い精神依存性
・きわめて強い身体依存性(自律神経嵐)
・精神毒性あり
・身体毒性弱い
・風邪薬も大量に使えばモルヒネ型依存をおこすものがある
・緩和ケアにおける使用は心配ない


○アルコール・バルビツレート
・我が国で一番多い「薬物」依存性
・サルで自発摂取あり、精神依存性強い
・身体依存性きわめて強い、退薬症候は致死的になることがある(意識障害、全身けいれん(
・毒性(精神、身体)いずれも強い
・今、主として用いられる睡眠薬は、抗不安薬の系統であり、類似した依存性を有するが、依存性は比較的弱い


○覚せい剤型
・由来は喘息のクスリから、日本では「突撃錠」
・「philopon(phil=好き、ponos=労働)」
・サルで自発摂取(強化効果)あり
・精神依存性きわめて強い
・身体依存性なし?
・精神毒性はきわめて強い、覚せい剤精神病


○コカイン型
・南米原産コカの葉から採る、フロイドが愛用したことで知られる
・サルで自発摂取(強化効果)あり
・精神依存性きわめて強い
・身体依存性なし?
・精神毒性強い


○大麻型
・麻をとる植物で昔は広く栽培されていた
・サルで自発摂取(強化効果)なし
・精神依存性あり
・精神依存性なし
・精神毒性強い(知覚変容、恐慌反応、意識障害)


LSD
・菌類由来のものが多い
・サルで自発摂取(強化効果)なし
・精神依存症あり
・身体依存症なし
・精神毒性きわめて強い(知覚のゆがみ、幻覚)
・他に、メスカリン等があり、MDMAはやや覚せい剤に近い


有機溶剤
・石油由来、アルコールに近い
・サルで自発摂取(強化効果)あり
・精神依存性強い
・身体依存性はアルコールに似ていると思われるが排泄が遅いためか禁断症状は明らかではない。
・精神毒性強い(アルコールと幻覚剤に似る)


○乱用と依存
日本で、乱用は、WHOと同様に医療目的を故意に逸脱した薬物使用のこと。
米国で、乱用は、診断名であり、個人の健康や社会生活に大きな影響が現れるような薬物使用を繰り返すこと、
但し、「依存」の診断基準を満たさないもの。


○依存と中毒

中毒とは、何らかの物質摂取により健康が損なわれた状態のこと(精神・身体)
中毒は、薬物作用が強まるほどその現象が強まる。
依存は、薬物作用が弱まるほどその現象が強まる。


○依存症の治療

本人が治したいなら医療は円滑に進む
しかし多くの依存症者は治したいと思っていない
むしろ薬物を使用することがトラウマの自己治療になっていることがある
どうしたら治したいと思うようになるか
とりあえず本人に困っていただく


○初期介入
まずは家族や関係者の本人への対応の修正をはかる・・・集団療法や家族の自助グループが有効(アラノン・ナラノン)
要するに本人を手放し、本人に問題を返し続けていけるようになること
本人をとりまく人々の問題を考える場合、共依存概念が有用


共依存(co-dependence)
・米国でアルコール医療にかかわるソーシャルワーカーの間で使われ始めた言葉
・無責任な依存症者を支え、ますます無責任にさせてしまう人の問題
・自己評価が低く、他者に支えられたい欲求が実は強い。。。トラウマ後遺症として、依存症と同じ穴のムジナ?


共依存からの回復
わたしはわたしのことをする
あなたはあなたのことをする
わたしは何もあなたの期待にこたえるためにこの世に生まれてきたわけではない
あなたもわたしの期待にこたえるためにこの世に生きているわけではない
あなたはあなた
わたしはわたし
だがもしわたしたち二人が偶然心の底から出会えたとしたらそれは素晴らしいことだ
しかしそんな機会がなかったとしたらそれは仕方のないことだ



○セルフヘルプはなぜ役立つか
・受容・共感
・体験談の繰り返しによる自己の掘り下げ・・・自己洞察の深まり
・仲間が鏡となって自己の姿を見せてくれる
・仲間との信頼関係、人間関係の再構築
・自信や自尊心の回復

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個人的には基礎的知識の習得、
そして大学生の現状理解もさることながら、
後期の生徒指導概論の予備知識として参加した面もありました。
非常に有意義でした。



その後、研究室で、次週予定している研究会のレジュメ作成に着手。
スケジュール的には明日の午前中には完成させて、
木曜日、金曜日で到達しなければならない案件に取り掛からなければなりません。
どうにかがんばります。



【本日の一手】

官僚 (社会科学の理論とモデル)

官僚 (社会科学の理論とモデル)


言わずと知れたシリーズもののラストがついに刊行されました。
だいぶ前に購入済みでしたが紹介が遅れました。


そのほか真渕勝氏によるもので本棚にあるもののいくつかをピックアップ。


行政学

行政学

行政学案内

行政学案内

大蔵省統制の政治経済学 (中公叢書)

大蔵省統制の政治経済学 (中公叢書)

大蔵省はなぜ追いつめられたのか―政官関係の変貌 (中公新書)

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現代行政分析 改訂版 (放送大学教材)

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政界再編時の政策過程

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