信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室

信州大学教職支援センター 荒井英治郎研究室に関するブログです。

【連載】第13回「改革の背景」(連載「働き方改革を『アンラーン』する」『内外教育』第7152号,2024年4月2日)

【連載】第13回「改革の背景」(連載「働き方改革を『アンラーン』する」『内外教育』第7152号,2024年4月2日)


時事通信社の『内外教育』誌上で、「働き方改革を『アンラーン』する」と題した連載をさせていただいております。

 

第13回のテーマは、「改革の背景」です。

 

今回は、教育分野に限らず全政策分野横断的に、国レベルでいかなるアプローチが提示されているかを概観しました。具体的には、2017年3月28日に示された「働き方改革実行計画」、「10年先の未来を見据えたロードマップ」の内容を概観すると同時に、企業が取り組むべきテーマと施策例について目配せしてみました。

 

 日本は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、育児・介護との両立、労働者のニーズの多様化など「課題先進国」として位置付けられるようになって久しいです。また、企業の国際競争力の低下といった危機認識も高まりつつあります。これに対して、働き方改革は、個人の置かれた状況・文脈に応じて多様な働き方を選択できる社会を目指すことを目的に掲げているものです。改革の背景と内容、目的と手段の関係は妥当でしょうか。また、皆さんはこうした改革動向に、総論として、賛成でしょうか。各論では、いかがでしょうか。当事者意識はあるでしょうか。
--------------------------------------

ご関心のある方は、ぜひご笑覧下さい。

引き続きよろしくお願いします。

【連載】第12回「戦後日本の雇用慣行」(連載「働き方改革を『アンラーン』する」『内外教育』第7144号,2024年3月1日)

【連載】第12回「戦後日本の雇用慣行」(連載「働き方改革を『アンラーン』する」『内外教育』第7144号,2024年3月1日)


時事通信社の『内外教育』誌上で、「働き方改革を『アンラーン』する」と題した連載をさせていただいております。

第12回のテーマは、「戦後日本の雇用慣行」です。

働き方改革の必要性は、何も教育業界に限定されたものではなく、日本社会が抱える構造的課題とも言えるものです。そこで、今回は、働き方改革全般の背景を概観すべく、日本経済新聞社編の「検証 働き方改革─問われる『本気度』」(日本経済新聞出版社、2017年)で取り上げられている、戦後日本の高度経済成長を下支えした雇用慣行の特徴に目配せしてみました。

具体的には、いわゆる「三種の神器」である①終身雇用制度、②年功序列型賃金制度、③企業内(別)組合制度についての概説と課題を論じた上で、ハーバード大学の経済学者デビッド・E・ブルームの議論を頼りに、「人口ボーナス期」と「人口オーナス期」における雇用政策の特徴を概観しました。

繰り返しとなりますが、働き方改革は、教育分野だけに限ったものではなく、日本社会全体が直面する現在進行形の政策課題に対する一つのチャレンジと言えます。他方で、他の業界で指摘されている構造的課題と、教育業界が直視すべき課題は必ずしもイコールではなく、質的に異なる部分もありそうです。共通の課題、固有の課題はどのようなところにあるでしょうか。教育関係者は、どのようなプレッシャーに取り囲まれているでしょうか。教育関係者を取り巻く環境とその状況、さらには、改革の方向性は、異なる背景を持つ方々から共感的に受け止められそうでしょうか。
--------------------------------------

ご関心のある方は、ぜひご笑覧下さい。

引き続きよろしくお願いします。

【論文】清水優菜・荒井英治郎「公立進学高校における部活動と進路自己効力,グリットとの関連」国士舘大学初等教育学会編『初等教育論集』第25号,2024年3月,31-39頁。

【論文】清水優菜・荒井英治郎「公立進学高校における部活動と進路自己効力,グリットとの関連」国士舘大学初等教育学会編『初等教育論集』第25号,2024年3月,31-39頁。


このたび、「公立進学高校における部活動と進路自己効力,グリットとの関連」(国士舘大学の清水優菜先生と共著)と題した論文が国士舘大学初等教育学会の『初等教育論集』に掲載されました。

 本稿の目的は,公立進学高校における部活動と進路自己効力,グリットとの関連について,運動部と文化部という部活動の種類を考慮して検討することです。
 高等学校における部活動は,制度的には「生徒の自主的,自発的な参加により行われる」教育課程外の学校教育活動であり,「スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意する」もの(文部科学省, 2018)と位置付けられていますが,日本の高校教育を特徴づける一翼を担っています。
 平成29年7月にスポーツ庁委託事業として実施された「運動部活動等に関する実態調査」(スポーツ庁, 2018)において,部活動に参加している高校生は約81%と報告されているように,数多の高校生が何らかの部活動に参加していることが窺えます。このような現況を踏まえれば,高校における部活動は,生徒が自主的,自発的にスポーツや芸術活動を享受するだけの場に留まらず,生徒の指導機会や進路形成のきっかけといった教育的役割,さらには社会とのつながりをつくることや出身家庭の文化的格差の縮減といった社会的役割を担っているとい
えます。  本研究では,学校階層高位の高校,中でも公立進学高校における部活動への参加の有無が生徒に与える効果について,運動部と文化部という部活動の種類を考慮して検討しました。特に、本研究では,部活動参加の効果測定変数として,進路自己効力(career self-efficacy)とグリット(Grit)を取り上げました。

 以下、得られた知見です。
 
 第一に,運動部に所属している生徒ほど,進路自己効力とグリットの中でも努力の粘り強さは高い傾向にあることが示されました。しかし,その分散説明率は極めて低い水準であったため,公立進学高校において,運動部活動に参加することは,進路自己効力と努力の粘り強さを向上・改善する効果・機能を有するものの,その寄与はごくわずかに過ぎない可能性が示唆されました。  

 第二に,文化部に所属している生徒は,2 年生から3 年生にかけて,努力の粘り強さは高い傾向にあることが示されました。しかし,その分散説明率は極めて低い水準であったため,公立進学高校において,文化部活動に参加することは,2 年生から3 年生にかけて,努力の粘り強さを向上・改善する効果・機能を有するものの,その寄与はわずかに過ぎない可能性が示唆されました。畢竟するに,公立進学高校において,部活動に参加することは,進路自己効力とグリットを向上・改善する効果・機能を有するものの,その寄与はごくわずかに過ぎないと指摘せざるを得ません。公立進学高校などの学校階層高位の高校では,大学受験などの進学が主たる関心ごとであるため,部活動よりも普段の授業などの学業的な場面が,進路自己効力とグリットの向上・改善にとりわけ大きな効果・機能を有するのかもしれません。


ご関心のある方は、以下からアクセスください。

https://www.kokushikan.ac.jp/faculty/Letters/department/primary_education/journal/file/25_14.pdf

 

【ご報告】2023年度のお仕事

【ご報告】2023年度のお仕事

 

2023年度も色々な自治体とご一緒させていただきました。

 

引き続きよろしくお願いいたします。

 

--------------------------------------
[長野県]
・信州学び円卓会議 座長
・長野県学校における働き方改革 専門家等による検討会議 座長
不登校児童生徒等の学びの継続支援に関する懇談会 座長
・長野県夜間中学検討会議 座長
・長野県夜間中学検討WG 座長
・信州型フリースクール認証制度検討会議 座長
・長野県青少年問題協議会 会長
・県立高校「未来の学校」構築事業アドバイザー
・特色ある県立高校づくり懇談会 委員
・長野県公立小中学校事務研究会 全国・関ブロ大会レポート作成委員会 助言者

[松本市]
松本市教育顧問
松本市「シンカ」会議 委員
松本市行政評価 委員
松本市教育委員会事務点検評価委員
・持続可能な奈川地区推進協議会子どもと暮らし部会 会長

[長野市]
長野市の教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価の有識者委員
長野市の学校における働き方改革推進のための懇談会 助言者

[飯田市]
飯田市キャリア教育研究委員会 委員

[塩尻市]
塩尻市子ども・若者応援協議会 会長

[諏訪市]
諏訪市すわ未来創造子どもゆめプロジェクト アドバイザー

[須坂市]
須坂市小中学校適正規模等審議会 副会長

[朝日村]
朝日村の教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価の有識者委員

[教育機関]
・長野県松本県ヶ丘高等学校 学校評議員
松本市立旭町小学校「笑顔の会」委員
朝日村立朝日小学校学校運営協議会 委員
・豊野高等専修学校 学校のあり方検討会アドバイザー
・学校法人軽井沢風越学園評議員
・学校法人茂来学園大日向小学校学校評価三者評価委員会 委員

[他県]
大阪府枚方市教育委員会メンタルヘルス対策会議
川崎市教育委員会教員勤務実態調査における意識調査結果の活用及び分析に向けた意見聴取会 助言者

[その他]
経済産業省「未来の教室」実証事業 助言者
・地域少子化対策に関する調査事業「令和5年度地域少子化対策に関する調査事業 企画委員会」委員
・増田富美記念財団奨学金 審査委員長

【ご報告】「令和5年度学校現場おける業務改善加速事業専門家等による検討会議報告」

【ご報告】「令和5年度学校現場おける業務改善加速事業専門家等による検討会議報告」

 

今年度、座長を拝命しておりました、令和5年度学校現場おける業務改善加速事業専門家等による検討会議の報告として、「事務室・職員室から始まる/始める働き方改革」と題した資料を作成しました。

 

内容は、
--------------------------------------
・教育業務に関わる教育委員会・学校の連携・協働体制の構築
・学校事務職員による業務改善の取り組み
・学校事務職員による学校経営参画の推進
・学校関係者の多様な働き⽅の研究の推進
--------------------------------------
などになっております。

 

なお、今年度は、以下の皆様にも関わっていただき、ご助言等いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

--------------------------------------
妹尾昌俊 様(⼀般社団法⼈ライフ&ワーク代表理事

町⽀⼤祐 様(帝京⼤学⼤学院教職研究科講師)

上部充敬 様(神奈川県横浜市⽴⽇枝⼩学校)

濱岡 功 様(栃⽊県那須町那須中央中学校

宮本隆宏 様(⻑崎県佐世保市⽴浅⼦⼩中学校)

北條 正 様(⻑野県公⽴⼩中学校事務研究会会⻑)

細⽥勇次 様(⻑野県公⽴⼩中学校事務研究会研究部⻑)
--------------------------------------


以下からダウンロード可能となっておりますので、ご関心のある方はぜひご活用ください。

https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyoiku/kyoshokuin/documents/r5kentoukaigihoukoku.pdf

https://www.pref.nagano.lg.jp/kyoiku/kyoiku/kyoshokuin/index.html

 

 

【ご報告】教職支援センター 2023年度地域連携プロジェクト  

【ご報告】教職支援センター 2023年度地域連携プロジェクト

 
所属先の信州大学教職支援センターにて、地域連携部門長を拝命しております。
 
2023年度も、多くの連携パートナーの皆様とご一緒させていただき、地域連携プロジェクトを推進してまいりました(以下、「連携パートナー」の一覧です)。
 
今年度は、年間約170名の大学生が臨床経験を得る機会をいただきました。引き続き、学びの「イノベーション」の推進と「セーフティ・ネット」の構築に精進しました。

日本全国津々浦々、ご関心のある方は、お気軽にご連絡いただけたら幸いです。

------------------------------------
【義務教育段階】
・授業支援(松本市立旭町小学校)
・学習支援(信州大学附属病院院内学級)
・授業支援(松本市立岡田小学校)
・学習支援・キャリア支援(松本市立清水中学校)
・学習支援(伊那市立伊那小学校・伊那市立伊那中学校・伊那中央病院)
・学習支援(上田市立第一中学校)
・学習支援(上田市立第四中学校)
・学習支援(生坂村 生坂地域未来塾)
・学習支援(朝日村 朝日未来塾)
・学習支援(山形村 やまがた未来塾)
・学習支援(筑北村 筑北未来塾)
・学習支援(小川村 小川村公設民営塾)
・学習支援(反貧困セーフティネット・アルプス「無料こどもじゅく」)
・居場所支援(子ども支援・相談スペース はぐルッポ)

【高等学校段階】
・授業支援(エクセラン高等学校)
・学習支援(東京都市大塩尻高等学校)
・探究支援(松本県ヶ丘高等学校)
・探究支援(松本美須々ヶ丘高等学校)
・学習支援(松本第一高等学校)
・生徒の主体性を育む交流会

【その他】
・まつもと子ども未来委員会サポーター(松本市役所)
------------------------------------

 

【プレスリリース】「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について

【プレスリリース】「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について


今年度も、昨年度に引き続き、松本キャンパスで大学生活を送っている信州大学生を対象としたアンケート調査として「信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」を行いました(私が顧問を務めている学生団体CHANGEとの共同調査となります)。

取り急ぎ、アンケート結果を取りまとめましたので、ご報告いたします。


当該アンケートでは、次のような結果が得られました。

-----------------------------------
信州大学松本キャンパス大学生活アンケート2024」の結果について

【生活面】
・勉強の項目では、学生の多くは普段はあまり勉強しないが、試験期間になると途端に勉強することが分かる。
・普段勉強する時間帯は「21時から24時」が多い。
・普段勉強する場所は「自宅」が多い。
・勉強場所を選ぶ基準として、「静か」「長時間利用できる」「お金がかからない」という理由が多い。
・買い物に行くための移動手段は、主に「自転車」が多い。
・昼食は「学食」、夕食は「自宅」で食べる割合が高い。

【交通面】
・回答者の約8割が自分用の自転車を所有している。
・駅前に行く交通手段は「自転車」と答えた回答者が多く、続いて「バス」を利用する回答者が多い。
・大学周辺の道路については「道が狭い」、「舗装状態が悪い」、「混雑している」との回答が多い。

【余暇】
・「余暇」の過ごし方として、「睡眠」「ゲーム」「ネットサーフィン」等など、自宅で一人で過ごす回答が多い。
松本市文化施設の中で、回答者の多くが「松本城」に行ったことがある。
・大学周辺に欲しい施設の項目では、 「カフェ」を希望する回答者が多い。

【魅力】
・ほとんどの項目(「環境」、「教育・子育て」、「文化」、「芸術」、「産業」、「観光」、「食」、「交通」、「医療・福祉」)で「満足」、「やや満足」と答えた回答者が多い。
・「交通」の項目では、約8割の回答者が「不満」、「やや不満」と回答している。

【政治・行政】
・回答者の約85%が、松本市の政策について「知っていることはない」と回答している。
・今後重視してほしい政策は、「交通」が最も多く、次に「教育・子育て」に関する政策である。
・回答者の2割が、松本市に住民票を移動している。
・若者の政治への関心を高めるための取り組みとしては、「若者向けの政策の充実」、 「投票方法・場所の改善」、 「既存の投票制度の改善」という回答が多い。

-----------------------------------

当該アンケートは2017年から継続実施しておりますが、引き続き、若者の定点観測を続けて参りたいと思う所存です。引き続きよろしくお願いいたします。

--------------------------------------
https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/wp-content/uploads/2024/02/240224信州大学松本キャンパス大学生活アンケート.pdf

過去のアンケート結果は以下もご参照ください。
https://kyoushoku.shinshu-u.ac.jp/arai/social/アンケート/
--------------------------------------